「まあ、今は良い。それより、心の準備はいいか?」
「うむ。問題無い」
リリアの言葉に、俺は頷く。
俺は一つ深呼吸をして、ルーシーの亡骸がある場所へと歩み寄った。
彼女を始め、ガルドによって殺害された者たちが大地ごと氷漬けになっている。
まるで、ここだけ時が止まっているかのような光景だ。
「――時よ、動き出せ。【アブソルート・ゼロ・解除】」
リリアの詠唱と共に、一瞬にして氷が消失する。
そして、ルーシーの亡骸が姿を見せた。
「久しぶり……だな」
俺はそう呟くと、彼女の遺体を抱き上げる。
リリアは、その光景を見て言った。
「エリクサーを使うのじゃな?」
「ああ」
俺は頷く。
ここまで頑張ってきたのは、全てこの時のためである。
「俺は今から、ルーシーを生き返らせる」
「うむ」
リリアは頷く。
俺はルーシーの遺体を地面に優しく横たえると、エリクサーの入った瓶の蓋を開けた。
そして、彼女の口に流し込む。
すると、ルーシーの亡骸に変化が起きた。
まるで時間が巻き戻っていくかのように、彼女の身体が形成されていく。
やがて――
「げふっ……」
ルーシーが咳き込んだ。
呼吸を始める。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!