スラムに潜む違法奴隷商。
その重要拠点の1つに俺は突撃し、中にいた4人の男を蹴散らした。
俺は1人に近づくと、胸ぐらを掴み上げる。
「ほら。起きろ」
「ぐっ……」
頬を引っ叩く。
男は薄らと瞳を開いた。
まだ状況を理解していないらしい。
「な、なんなんだ……お前は……?」
「違法奴隷商の摘発に来た冒険者だよ。持っている情報を洗いざらい吐いてもらおうか」
「ふ、ふざけるなっ! 誰が貴様のような冒険者に――ゴブッ!?」
腹パン。
俺は容赦なく拳を突き入れる。
「もう一度聞く。情報はあるのか?」
「……あ、ああ。……お、教える。だから、もう許してくれ」
「最初から素直に話せばいいものを。手間をかけさせるな」
「ひいっ!」
再び殴られそうになったので、さすがの男も怯える。
俺はため息をつくと、質問を始めた。
「それで? 違法奴隷商の元締めの場所とか分かるか?」
「そ、それは分からねぇ」
「はぁ? 分からんで済むと思っているのか?」
「ひぃっ!? ま、待ってくれ! ここと同じような拠点ならいくつか知っている。順に潰していけば、あるいは……」
「ふむ」
まぁ、こんな末端構成員が全ての情報を知っているわけもないか。
いくつか拠点を潰していって、幹部と出くわしたらラッキーぐらいの感覚で進めるか。
「おっと、念のため、他の奴にも聞いておくか。お前はもういいぞ」
「えっ! も、もういいのか?」
「ああ。ゆっくり休め」
俺はそう言って、男の首を持ち上げた。
そして、そのまま外に投げ捨てる。
「ぎゃあぁぁ!」
頭を地面に打ちつけて気絶する。
俺はそれを一顧だにせず、次の男に向かった。
「お、俺はあいつ以上の情報なんて持ってねぇぞ」
「かもしれんな」
見た感じ、さっきの男と同格ぐらいだ。
おそらくはコイツも下っ端構成員だろう。
「だ、だったら……」
「しかしな。念のためという言葉がある。体に聞いてみれば、新しい情報が出てくるかもしれん」
俺はそう言って拳を構える。
さっきの男と同じように、腹パンでいいか?
だが、同じような痛めつけ方では、出てくる情報も同じになるかもしれん。
ここは趣向を変えてみよう。
俺は拳を引っ込め、左右の手で男の左右の足をそれぞれ掴む。
そして、その手を上に上げた。
「うっ! な、何をする気だ!!」
男は逆さ吊りになった。
「悪いな。ちょっと痛い思いをしてもらうぞ」
「や、やめろぉぉ!」
俺は宣言通りに動き出す。
だが、俺の拳や足で直接攻撃するわけじゃない。
「ががっ! ガガガがが!! や、やめてくれぇ!!!」
男が悲鳴を上げる。
俺が何をしているのかと言えば、男の頭を小刻みに地面にぶつけるように動かしているのだ。
拳や足で直接攻撃したら、うっかり殺してしまうリスクがあるからな。
こうして間接的にダメージを与えれば、末永く苦しめられるというわけだ。
「や、やめて……お願い……」
「知っている情報を全て吐けばやめてやろう」
「もう全て吐いた。うあ……。あ、ああぁ……」
やがて男は白目を剥いて意識を失った。
最後まで吐かないとは、なかなかの精神力だな。
まぁ、本当にこれ以上のことは知らなかったのかもしれないが。
こうして、俺は情報を集めていったのだった。
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