奴隷商が怪しげな器具を持っている。
「ほら、四つん這いになれ」
「くうっ……」
レスティの母親は屈辱に耐えていた。
獣人として誇り高く生きてきた彼女だったが、今や薄暗い地下牢に閉じ込められ、さらには手足の自由を奪われている。
娘を救うため、そして自分自身を守るためとはいえ、このような姿になるしかなかった。
「こ、これでよろしいでしょうか?」
「そうだ。それでよい」
「……」
レスティは不安そうな表情で母親を見つめる。
だが、奴隷商はそんなレスティの様子を見て笑っていた。
「くく。レスティちゃんの母親はなかなか美人ではないか。ほれ、もっとよく見せろ」
「ああっ、そこは……」
奴隷商がレスティの母の服をめくる。
彼女は奴隷候補のため、非常に簡素な服しか着ていない。
その服の下からは、形の良い尻が現れた。
「ふむふむ。なかなか良い肉付きをしているなぁ」
「いやんっ……」
奴隷商はしばらくレスティの母親のお尻を撫で回した。
それから、ゆっくりと手を離す。
「さて、では本番といくか」
「ほ、本番ですか?」
「案ずるな。先ほども言ったが、毒などではない。そんなつまらんものより、もっと面白いものだよ」
「…………」
母親は沈黙する。
元より、この状況で抵抗しても無駄なことぐらい分かっている。
だが、自らの身に何をされようとしているのか、理解できない恐怖は感じてしまうのだ。
「くっく……。さぁ、覚悟するがいい」
奴隷商がレスティの母親に近づく。
そして――
ブスリ!
「うぐっ!?」
何が起きたのだろう?
レスティは信じられない光景を目の当たりにした。
それは、母親の尻の穴にあの針が刺された瞬間だった。
「母さん!?」
「心配するな、すぐ楽にしてやる」
奴隷商はそう言うと、注射器の中身を押し込んでいく。
「ああ……なに、これ?」
「くくく……。すぐに分かる」
奴隷商の言葉通り、変化はすぐに現れた。
「あううぅ~」
「母さん!?」
レスティの母親が苦しみだす。
最初は痛みによるものなのかと思ったが、どうも様子がおかしい。
なんと、彼女の全身が痙攣しはじめた。
さらに、汗がダラダラと流れ出し、呼吸が荒くなっていく。
「母さん……母さん!」
レスティは母親に呼びかけるが、返事はない。
ただ苦悶の声を上げるだけだ。
「ぐうううぅ!」
「ふはは! 娘を庇う母親も、そうなっては無様なものよのう」
「貴様! 母さんに何をしたんだ!?」
「ふん……。これはな、浣腸液だよ」
「カンチョウ……?」
聞き慣れぬ言葉に、レスティは困惑の表情を浮かべる。
「排泄物を円滑に体外へ出すためのものだ。つまり、お前の母は今からみっともなく糞を垂れ流すことになるのだ」
「な、なんだよそれ……。嘘だと言ってくれ……」
レスティはあまりの出来事に涙を流すことさえできなかった。
排泄は、人として当然の行為だ。
しかし、人前でそれを行うことは猫獣人としての尊厳を酷く傷つけられるものだと感じたのだ。
「さぁて。この砂時計が落ちきるまで我慢できるかな?」
奴隷商が大きな砂時計をひっくり返す。
その動きに合わせるように、レスティの母親は身をよじらせたのだった。
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