「……ふむ? これはどういうことじゃ……?」
リリアが怪訝そうな顔を浮かべる。
彼女の予定では、ここには完全に竜と化したライルがいるはずであった。
しかし、今は誰もいない。
「竜になった喜びで、愚民どもを鏖殺しに向かったか? じゃが、それにしては娘どもの死体がないの」
彼女は首を傾げる。
ライルが『竜の加護』を与えた眷属たち。
竜化スキルの習熟に良い影響を与えるかと思い、眷属化を促進してきた。
だが、ライルが完全に竜化したのなら、もはや用済み。
むしろ邪魔と言ってもいい。
竜王リリアの感覚は人間のそれと大きくズレているとはいえ、ライルへの愛情は本物である。
愛しい旦那に群がってくる虫を、リリアが見逃すはずもない。
竜化の最後の仕上げも兼ねて、ライルに始末してもらう予定だったのだ。
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