俺たちは二手に分かれた。
リリアとアイシャはアジトの裏口方面へ。
そして俺とミルカは、正面からアジトへ向かう。
「よし。お前が前を歩け」
「は、はい……」
俺はミルカにそう命令する。
「くくく。盗賊団の殲滅が無事に終われば、たっぷりと褒美をくれてやる。そう、たっぷりととな」
竜の加護を与えてやれば、こいつにも利がある。
「ひっ! あ、ありがとうございます……」
ミルカはそう言って俺の前に出た。
そして、そのまま歩き出す。
もちろん、全裸のままだ。
「…………」
その尻を見ながら、俺は小さく笑う。
森の中で全裸で歩く彼女の姿は、なかなか哀愁を誘う。
これはこれで興奮するな。
そうしてしばらく歩いていくと、開けた場所に出た。
「ん? これは?」
「こ、これがアジトのようです」
洞窟がある。
その入口にはガラの悪そうな男が二人。
盗賊団のメンバーで間違いないだろう。
俺が先制攻撃でぶち殺してやってもいいが……。
「奴らが盗賊だという確証がほしいな……。よし、ミルカ。あそこまで歩いていけ」
「……え?」
「いいから行け! もちろん全裸のままでな」
「ひぃ! わ、わかりました……」
ミルカがよろめきながら、ゆっくりと進んでいく。
しばらく進んだところで、男二人がミルカに気づく。
「なんだ、ありゃ?」
「おい、どうしたんだあいつ。裸じゃねえか」
森の中にあるアジトに近づいてくる全裸の少女。
不審なんてものじゃないはずだが……。
「げへへ。お嬢ちゃん、そんな格好でどうしたんだ?」
「魔物に襲われた冒険者ってところか? 俺たちが助けてやんぜ?」
そう言いつつ、男たちはミルカに近づいていく。
「あ、ありがとうございます。助かります……」
ミルカがそう答える。
無難な受け答えだ。
だが、ここまでのやり取りでは、男二人が盗賊だという確証が持てない。
「げへへ。もちろん、対価は払ってもらうぜ!」
男が下卑た笑いを浮かべる。
「た、対価ですか? いったい何を……?」
「そんなの、決まっているだろうがよぉ! 全裸を見せつけやがって! こうしてやらぁ!」
男がミルカを地面に押し倒した。
「あ、ああっ! お許しを、お許しを!! だれか助けてぇ!」
「へへっ! こんな森の奥じゃ、助けなんて来るわけがねえだろうが!!」
「俺たち二人でたっぷりと可愛がってやるぜ! その後は、他の奴らにも味あわせてやるか! 共用の肉便器にしてやろう!」
「そ、それだけはやめてください~!」
ミルカが悲鳴を上げる。
「ふむ」
俺はその様子を見て、ニヤリと笑った。
作戦通りだ。
あの男たちが盗賊だということは、半ば確定した。
だが、面白いのでもう少し眺めることにするか。
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