「ライル様……。あたい、みんなが死ぬところはもう見たくないぜ……」
「ルーシー……」
ライルはルーシーを抱きしめる。
そんな2人を見て、バリオスはため息をついた。
「ふん……。お前たちが結婚した今、義理とはいえそやつは余の娘となっている。余の娘を泣かせるな、愚息よ」
「…………」
ライルがバリオスを睨む。
どの口でそれを言うのか……。
そう言いたげな目だ。
だが、ライルはそれ以上の文句を言わなかった。
「お兄ちゃん……」
「……分かっているさ、ガルド」
ライルは頷き、手を前に出す。
すると、バリオス、ガルド、ルーシーの3人が手を上に重ねた。
「俺たちは王族だ」
ライルが宣言する。
ブリケード王国の前王、バリオス。
ブリケード王国の元第二王子にして、現女王のガルド。
ブリケード王国の元第一王子にして、聖竜帝国の初代皇帝であるライル。
元はただの村人だが、ライルと結婚したことで聖竜帝国の初代王妃となったルーシー。
それぞれの顔には覚悟が浮かんでいた。
「愚民どもを守り抜くのが俺たちの役目だ」
ライルの言葉に、3人が頷いた。
そして、彼らは誓い合う。
「ここに改めて宣言する。聖竜帝国とブリケード王国は、手を取り合って大戦を乗り越える」
「うむ。周辺国家全てを敵にした今、打ち勝つことは容易ではないが……」
「俺たちが力を合わせれば、きっと乗り越えられるさ」
「あたいも全力で協力するぜ!」
ライル、バリオス、ガルド、ルーシー。
そして、レスティやロゼリア、他の者たちも……。
彼らは頷き、互いに笑い合った。
「いろいろあったな……俺たち」
「そうだな。ありすぎたぐらいだ」
ガルドの言葉に対し、ライルが答える。
「ガルドさん……あんたは最低最悪な奴だったよ」
「なにぃ?」
「だってそうだろ? あたいのことを強姦した上、殺すなんて……。まさに鬼畜外道じゃないか」
「うぐっ……。む、昔のことを持ち出されると弱いな……」
「くく……。我が義理の娘よ、もっと言ってやるがよい」
「父上まで……。ったく……」
顔を引きつらせるガルドに対し、ルーシーとバリオスが笑う。
そんな3人につられて、ライルも笑った。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!