「俺を刺すつもりか? それとも、これで脅しているつもりなのか?」
「へへっ! ビビっているようだな? アタイとの実力差を認めるんなら、この剣を引っ込めてやってもいいぜ?」
勝ち誇ったように言うシャオ。
実際、首筋に剣を突きつけられた状態から逆転することは不可能だ。
――よほどの実力差がない限りは、だが。
「人に剣を向けたのなら、命をかけろよ?」
「……は? 何を言って……」
「それは脅しの道具じゃないと言っているんだ」
俺は右手で剣を抜き――彼女の首を切り飛ばした。
宙を舞うシャオの頭部。
まだ意識は残っているらしく、目がキョロキョロ動いているところを見るに即死ではないようだ。
まぁ、胴体と頭部が切り離されてしまっては、いくらBランク冒険者とはいっても数秒後には死んでいるだろうが。
「よっと」
俺は落下してくる頭部をキャッチし、その場に倒れそうになっている体も支えてやる。
それぞれの切断面からは激しい出血があり、放っておけばまもなく死ぬだろう。
だが、そうするつもりはない。
こいつにはシルバータイガー狩りを手伝ってもらわないといけないからな。
「――【仮初の命】」
首から上を失った状態ではあるものの――死んではいない彼女に回復魔法をかけてやる俺。
ただし、これは完全な回復魔法ではない。
頭部と胴体が繋がっていない状態のまま、数分程度なら意識を保ち続けることができるというだけものだ。
俺は手に持ったシャオの顔を覗き込み、ニヤリと笑ったのだった。
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