「よう、父上。久しぶりだな」
ブリケード王国宮殿の、玉座の間。
俺はそこで、バリオス王と対面していた。
「このっ……! 余を父と呼ぶな!! この悪魔め!!!」
「おいおい。ひどいなぁ、父上。追放した息子との再会だというのに、悪魔扱いか」
俺は肩を竦める。
バリオス王は、額に青筋を浮かべて怒鳴った。
「黙れっ! 追放された恨みを晴らすだけなら、まだ情状酌量の余地があった。だが、貴様はそれ以上の罪を犯した!!」
「ほう? 俺が一体何の罪を犯したというんだ?」
「決まっておる! ブリケード王国軍を虐殺するだけにとどまらず、無辜の民にまで手を出し、その魂を吸収しおったではないか!!」
「ふふふ。俺はただ、『紅血の水晶石』の素材が欲しかっただけさ。血でも良かったが、最後の仕上げに苦戦してしまってな。魂そのものを吸収させた方が効率が良いと思ったのだよ」
俺はそう言って笑う。
ルーシーを生き返らせるためなら、名も知らぬ兵士や国民がどうなろうと知ったことではない。
俺にとっては、ルーシーの方が大切だ。
聖竜帝国(ホーリードラゴン・エンパイア)とブリケード王国の戦争で、俺は竜化して好き放題に暴れ回らせてもらった。
ブリケード王国は既に半壊状態だ。
国王のピンチだというのに、周囲に彼を守る騎士がいないことからもそれは明らかである。
バリオス王は、凄まじい形相で俺を睨んだ。
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