俺がルーシーに『竜の加護』を与えてから、数週間が経過した。
「よう、ルーシー。元気か?」
「ひっ!? ら、ライル様……お、おはようございます……」
俺が声をかけると、ルーシーは怯えた様子で後退る。
そして、引きつった笑みを浮かべていた。
そんな彼女の態度に、俺は首を捻る。
「俺とルーシーの仲なのに……。口調を元に戻してくれないか?」
俺は王族の生まれで、彼女は平民だ。
しかし同時に、幼なじみに近い間柄でもある。
俺は幼少の頃、魔物狩りとかで彼女の村をよく訪れていたからだ。
彼女は俺を『ライル様』と呼ぶ一方で、口調自体はタメ口で砕けたものを使っていた。
にもかかわらず、ここ最近はなぜか丁寧な口調になってしまっている。
「そ、それは……ごめんなさい。でも……あの……」
ルーシーは怯えた様子で首を左右に振る。
何に怯えているのだろう?
俺としては、まったく心当たりがない。
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