我が子に”サティ”と名付けた後も、宴会は進んでいく。
「ライル様、サティを寝かしつけてきますね」
「うむ。任せたぞ」
途中で、サテラが我が子をあやしながら席を外す。
俺はほんの少し寂しく思いながらも見送った。
(たかが村娘に俺が執着するとは……。やはり、子ができると変わるものだな)
そんなことを考えていると、再び村長と目が合う。
「ライル殿、今日はもう遅いですので、この辺でお開きにいたしましょう」
「そうだな。俺もそろそろ休ませてもらうとしよう」
俺もそう言って、その場を離れようとした時だ。
「ライル殿」
「ん? どうしたんだ? 村長」
村長が神妙な顔でこちらを見つめていた。
「実は、この者たちがライル殿にご寵愛を賜わりたいと申しておりまして……」
村長はそう言って、頭を下げる。
そこには7人の女たちが並んでいた。
10代後半から20代前半くらいの者が多いか。
だが、下はまだ10代前半の者から、上は30代後半の者もいるように見える。
「ほう? こいつらが?」
俺は興味深く彼女たちを観察した。
ステラには一歩及ばない気もするが、素材は悪くない。
「しかし、俺にはサテラという相手がいるのだが?」
「構いません。みな、それを承知でライル殿にお願いしたいとのことです。もちろん、子は村で育てます」
「ふむ?」
まぁ、俺という絶対強者の遺伝子を欲しがる感情はわからなくもない。
「しかし、村の男衆を差し置いていいのか? あいつらは不満に思わないのか?」
有象無象の存在など、本来は俺が気にかけるものではない。
邪魔になれば殺せばいいだけだしな。
だが、こんな山村にとっては貴重な男手だ。
無闇に殺したり、あるいは不満を感じさせたまま放置してしまうと、村にとって良くない。
引いては、サテラやサティにまで不利益をもたらすことになるかもしれないのだ。
「ライル殿が気になさることではありませんよ。村へ新しい血を入れることに意義があるのです。それがライル殿のような強者の血であれば、なおさらです」
「……なるほど」
俺は村長の言葉を聞いて理解する。
辺境の村では交配関係が閉じられやすい。
実質的に近親相姦に近い形になってしまうこともあるらしい。
そのせいか、必ずしも優秀な血には拘らず、外から来た人間と交わりを持つことがしばしばあるようだ。
俺という強者が来た今、渡りに船といったところなのだろう。
「いいだろう。ただし、一夜だけの関係だ。それでいいなら、相手をしてやってもいいが……。それでいいか?」
俺がそう聞くと、女どもは一斉に何度も大きく首を縦に振ったのだった。
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