身体中に殴られた後のある獣人の女性を発見した。
先んじて見つけていた奴隷少女の母親らしい。
「母さん! ううっ……あいつら、よくも母さんを……!」
母親に泣きつく少女。
希少種族である彼女たちは親子共々奴隷狩りに遭ったようだ。
ただ、戦闘奴隷としても愛玩奴隷としても、娘の方が価値は高い。
母親の方は、憂さ晴らしに拷問でもされていたのだろうか。
まあ、今となってはどちらでも構わない話か。
「おい、お前」
俺は少女の背後へと近づき、話しかける。
少女はハッとした顔で振り返った。
「じ、人族……お前たちのせいで母さんが……!!」
「だから、俺と奴隷商どもを同じにするな。……まぁ、それはいい。それより、お前の母親のことだ。このままだと死ぬぞ?」
「え……?」
彼女は一瞬呆けた顔をする。
しかし、すぐに意味を理解したらしく、顔面蒼白になった。
「ど、どういうことだ!?」
「お前の母親は身体中傷だらけだ。内臓や骨にもダメージが入っている。恐らくだが、もうすぐ死に至る」
「なんで、見ただけでそんなことが……!」
「俺にとっては造作もないことだ。それより、お前の父親はどうしている? 一緒にいるのか?」
「父さんは……アタシたちを守るために……」
「そうか」
女子供を守るため、男の戦士が犠牲になる。
よくあるパターンだ。
俺は彼女に近づくと、回復薬の入った瓶を手渡すのだった。
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