「やはり若様は若様ですね……。暴走してもなお、これほどの人望があるのですから」
ロゼリアが満足気に微笑む。
実際には恨みなどの感情を持っている者もいるのだが、ライルと古い付き合いである彼女は盲目気味だ。
そんな彼女の脳裏にも、ライルとの思い出がよぎっている。
『ロゼリア』
『はっ! いかがしましたか? 若様』
『――俺を舐めているのか?』
『え? ――ひ、ひぃっ!!??』
『俺がブリケード王国に戻る? あり得ない。冗談も大概にしろ』
――ロゼリアが王から受けた命令は、ブリケード王国へライルを連れ戻すことだ。
だが、彼はその命令を蹴ったのだった。
しかも、圧倒的な殺意のこもった目でロゼリアを睨む。
あの時の恐怖は、今思い出しても鳥肌が立つようだ。
「私は確信しています。若様こそ、世界を統べるに相応しいお方だと! あのリリアとかいう女の好きにはさせません!!」
ロゼリアは剣をライルの体に突き刺した。
シャオもそれに続くように、剣を振るう。
「グルオオォッ!!」
「ぐっ……! まだこんな力が残っているのか……!?」
「まずいな……! もう余力はないぞ」
ライルの力が強大すぎて、シャオとロゼリアの攻撃でも戦闘不能に至らない。
このままでは、押し切られてしまうだろう。
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