「好き勝手暴れるだけなら楽なのだがな。竜化して人に見られると、なかなか厄介で――ん?」
そこで俺は気付いた。
ここが地下であることを。
竜化したところで、人に見られなければ特に問題はないではないか。
「よし。久しぶりにやってやる。【竜化】!」
俺は意識を集中させる。
体内の魔力を練り上げ、全身へと流し込んでいく。
同時に、俺の身体はメキメキと音を立てながら巨大化していった。
さらに、俺は手足を曲げて屈み込む。
そして、力を溜め込んだのち一気に解き放つ。
ズゴォォンッ!!!
ドガァァッ!!
周囲の壁の一部を粉砕しながら、現れた俺の姿は――
「グオォォォォオオオン!!」
大きな赤い竜だった。
大きいとは言っても、以前の姿ほどではないが。
S級スキル竜化の習熟度が上がり、サイズもある程度調整できるようになっているのだ。
今の俺は、体長3メートルといったところか。
この地下の空間を何とか動き回れるぐらいのサイズ感である。
「グオオォォッ!!!」
ドラゴン形態になった俺は、地下の扉を粉々に破壊した。
やはり、竜化状態ならこんな扉なんぞ大した障害ではないな。
ブレスを吐くまでもない。
何気ない腕の一振りで十分だ。
(さぁて……。違法奴隷商どもはどこに隠れているのかな?)
俺は扉の先に進み、周囲をキョロキョロと見回す。
そこにはそれなりに広い部屋が広がっていた。
「な、なんだこのドラゴンっ!?」
「うわあああぁっ!」
そこにいた男たちが悲鳴を上げた。
そいつらは俺から逃げるようにして、部屋の奥にある扉へ向かう。
あの先に何かあるのだろうか?
まぁ、逃しはしないがな。
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