「き、聞いただろう!? 奴ら、ストレアを潰す気だ……!」
「はっはっは。それがどうした?」
「ど、どうか頼む……! 降伏してくれ……!!」
「断る。そもそも、奴らが自分の意思で俺を追放したんだ。そんな俺が、なんで戻らなきゃいけない? なぜ戻ってやらなければならない?」
「ら、ライル君とブリケード王国の事情は分からない……。だが、これはストレアの平和を維持するために必要なことなんだ……!!」
「――ああ、もう面倒臭いな」
俺はため息をつく。
冒険者ギルドのギルマスとはいえ、所詮はこんなものだ。
大局観など持っていない。
ただただ、自分が住む町の平穏を望んでいるのだ。
適当にぶっ殺してやってもいいのだが、一応はアイシャの親なので見逃してやろう。
俺も寛大になったものだ。
「分かった分かった。元より、籠城したり逃げたりするつもりなんてないからな。――おい、みんな。そろそろ出るぞ」
俺はギルマスから視線を外し、周囲を見渡す。
そこには、リリアやレスティ、その他何人もの仲間たちの姿があった。
さて、戦争の時間だ。
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