ひとしきり鳴いたあと、俺の方を見るメスタだったが――次の瞬間には視線を外してしまっていた。
どうやらようやく自分がどんな状況に置かれているのか理解したようだ。
絶望に満ちた目でこちらを見上げる彼女に、俺は冷たい口調で告げる。
「なんだその顔は? 文句でもあるのか?」
すると慌てて媚びるように鳴き始める。
「命乞いは聞いた。次は……そうだな。ちゃんと排泄ができるか見せてもらおうじゃないか」
そう言うと、メスタの顔から血の気が引いていったのがわかった。
「ぶ、ぶひ……っ!」
首をフルフルと振るうメスタ。
そんな姿を見て、再び笑いが起こる。
「とはいえ、部屋の中にぶちまけさせるのも汚いな……。おい、キーネ!」
「……」
「キーネ!!」
「は、はいっ! ……何でしょうか……?」
唐突に呼ばれたキーネは少し驚いた様子を見せる。
しかしそんなことはお構いなしとばかりに指示を出す。
「この雌豚が、これからクソを漏らす。例のオムツを用意してやれ!」
その言葉にキーネの顔が青ざめていくのがわかる。
一方で、他の多くの者たちは理解していない様子だ。
オムツの存在を知っているのは、俺、リリア、アイシャ、キーネぐらいか。
あとは、商会長の娘であるスピカも知っているかどうかといった具合だろう。
俺はオムツを用意するキーネを見て、ニヤニヤと笑うのだった。
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