「グルオオオオォッ!!」
1匹のドラゴンが咆哮を上げる。
そのドラゴンの鱗は赤く、神々しい輝きを放っていた。
「くっ……! 若様を……お救いできなかった!!」
「完全な……竜になっちまった……。これじゃ、もう……!!」
ロゼリアとレスティが叫ぶ。
彼女たちの目の前には、赤いドラゴン――ライルの姿がある。
これまでの一時的な『竜化』と様子が異なることは、一目瞭然であった。
「グルルル……」
ライルは喉を鳴らして、彼女たちを睨みつけていた。
ロゼリアとレスティは冷や汗を流す。
彼女たちは、ライルから竜の加護を与えられた強者だ。
元々の戦闘能力と合わせ、ライル一味の中でも上位の戦力を持つ。
そんな彼女たちを持ってしても、わずか2人ではライルの暴走を止めることは難しい。
だが、ここには他の面々もいる。
「嘆いている場合かよ! ――おらああああぁ! 【迅雷剣】!!」
「はぁっ!!」
「おおおおぉっ!!」
ガルド、キーネ、シャオの3人が、ライルに攻撃を繰り出す。
特に、A級スキル【剣聖】を持つガルドの剣技は強力だ。
竜の加護により強化されたその一撃は、竜の鱗に傷をつけた。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!