「ほう! ライルはそやつとの間に子をなしたのか?」
村の女たちやサテラと楽しんだ翌日、俺はサテラやサティと共に村を出発した。
そして無事にストレアに戻り、リリアに状況を報告した。
「ああ。俺も予想外だったが……。こうして見ると、可愛いものだな」
最初に見たときに殺そうかどうか少し悩んだのは内緒だ。
「それでその子は何と言うのだ?」
「サティだよ。サテラとライルの娘だからな」
「ほう。いい名前ではないか」
「ありがとうよ」
俺はサティに目を向ける。
「あうー」
「ほらほら、いい子いい子」
サテラがサティをあやしている。
今はまだ小さいが、これからもっと大きくなるだろう。
そう考えると、ちょっと楽しみになってきた。
「ちなみになんだが、リリアはこういうことを気にしないのか?」
「む? ライルが小娘と遊んだところで、余は関知せぬぞ。いずれは余との間にも子をなしてほしいものだがな。今はまだその時でない」
リリアは竜王だ。
そして俺はS級スキル竜化を持つ。
俺たちの子どもは、きっととんでもない才覚を持つ子になるのではないだろうか。
「そんなことより、ライルよ。こやつが増えたことで、シルバータイガーの捕獲作戦は成功率を増したかもしれん。だが、まだ足りんであろう?」
「そうだな。あと何人かは人手を確保するつもりだ」
「それならば、冒険者ギルドに顔を出してやるがよい。例のあの……ええと……」
「うん?」
「あーっと、そう、アイシャじゃ。アイシャがライルを探しているはずだ」
「アイシャ? ああ、ギルド職員のあいつか」
ギルマスの娘だな。
俺の盗賊討伐の旅にも同行させたことがある。
あいつにも”竜の加護”は与えているし、俺に従順だ。
俺が頼めば――いや、俺が命令すれば喜んで力を貸すだろう。
「よし、わかった。明日、冒険者ギルドに顔を出すことにする」
「うむうむ。それが良いぞ」
「リリアはどうするんだ?」
「余はこやつ――サティの相手をしてやる。サテラと共にな」
リリアはサティを抱くと、その頬に口づけをした。
結構可愛がっているなぁ。
サティの才覚はぼちぼち程度だろう。
父親はS級スキル竜化持ちの俺だが、母親はただの村娘だからな。
竜王リリアからすれば、サティなど格下でどうでもいい赤子だと思っていたのだが。
「リリア様、サティを可愛がってくださりありがとうございます」
「うむうむ。無力な存在というのは愛おしいものよ」
ああ、なるほど。
リリアがサティに向ける感情は、一般的な人族が子犬や子猫に向けるあれに近いんだな。
俺はそう理解したのだった。
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