キーネの知り合いだという冒険者4人組が絡んできた。
奴らはキーネを勝手に連れ出し、路地裏に入った。
ここなら人目もない。
俺にとっても好都合だ。
武力行使で俺の所有物を取り返すことにする。
「さあ、かかってこい」
俺は腕を広げ、堂々と言い放つ。
「ふざけやがって! ぶっ殺してやる!」
先頭に立っていた男が剣を抜いて切り込んできた。
そこそこ速いが、俺よりは遥かに遅い斬撃だ。
俺は一歩前に踏み出すと、剣を振るってきた男の腹を蹴り飛ばす。
「ぐあっ!?」
男は宙を舞い、壁に激突して動かなくなった。
「なっ……!」
「嘘でしょう!?」
「なんてパワーだよ……」
他の3人は大きく後退している。
怯えた様子だ。
「まだやるか? やるなら、容赦しないが」
俺が挑発すると、残った唯一の男が怒鳴り声を上げた。
「舐めんな! こっちはまだ3人もいるんだ!!」
「おお、怖い怖い。俺のような年下を相手に、3人掛かりでリンチとはな……」
「お前がガキだからと、手を抜くと思ったら大間違いだ!」
「へぇ……」
俺が睨み付けると、残りの女2人も剣を抜いた。
「これはさすがに俺も勝てないかもしれないなぁ」
俺はニヤニヤしながら、心にもないことを言ってみる。
「どうした! 怖気づいたか!」
「まさか。それならそれで、やりようはあるんだ」
俺は悠々と歩き、さっき蹴り飛ばした男へと近づいていく。
男は気絶しているようだ。
その男の足を掴む。
「なっ! まさか、人質を取るつもりか!」
「卑怯よ!」
「違うって。俺はそんなくだらないことはしない。こいつには、もっと面白い使い方がある
「何だと……」
「こういうことさ」
俺は男たちに見せつけるように、手に持った男を持ち上げて見せる。
そして……、思いっきり地面に叩きつけた。
ドゴォンと激しい音が響き渡る。
「うごぉっ!!」
「おい、大丈夫かよ!」
「私たちの仲間になんてことを!」
「死んだんじゃ……」
3人は心配そうな声を上げるが、当然のことながら死んではいない。
別に殺してもいいのだが、それだと楽しめないじゃないか。
「問題はない。俺の闘気で覆っているからな」
「何だと?」
「どうだ、素晴らしい武器と思わないか? 名付けて、人間ハンマーだ!」
俺は男に闘気を通したまま、そのあたりの家屋や地面を殴りつける。
「ははは! いいぞ、すごい威力だ!」
俺はテンションが上がりまくっていた。
そうだ、これこそ俺が求めていたものだ!
「このガキ……!」
「な、何という酷いことを……」
「仲間は返してもらうわよ!」
3人の冒険者の顔色が変わる。
ここからが本番だ。
少しは楽しみたいところだ。
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