騒ぎを聞きつけた村の男たちがやって来た。
彼らが俺を囲む。
「くたばれやあぁ!」
「ミルカちゃんに手出しはさせん!」
男たちが剣を振り上げ、俺に向かってくる。
「馬鹿が。身の程をわきまえろ。【フレイム】」
俺は右手を前に出す。
そして、魔法を唱えた。
ゴオオオォッ!
俺の手のひらから炎が噴き上がる。
その熱気だけで、近くにいた村人たちが悲鳴を上げた。
「ぎゃあああっ!」
「熱い!」
もちろん火力は押さえていたので、焼け死ぬほどではない。
この程度の炎にビビるとは、獣かよ。
「【指弾】」
俺は指を勢いよく弾き、空気の塊を射出する。
指パッチンの強力版と言ってもいい。
「ぐえっ!」
「ぎゃあっ!!」
男たちがダメージを負っていく。
もちろん殺してはいない。
ただ絡んできただけの村人を殺すほど俺は狭量ではないからな。
「ふむ。この程度の人材しかいないようでは、数十人程度の盗賊団を脅威に感じるのも無理はないか」
「ぐっ! ぐぬぬ……」
村長が悔しそうに歯噛みする。
「まあ、そう深刻に考えるな。この俺に任せていれば、盗賊団など軽く撃破してやるさ。この村にも安寧が訪れるだろう」
「…………」
「だが、このミルカといい、男どもといい、態度が気に入らない。俺をわざわざ村に呼びつけておいて、この仕打ちは何だ?」
「ひ、平に! 平にご容赦を!!」
村長が土下座をする。
俺の戦闘能力を間近で見て、もはや逆らう気も失せたのと思われる。
「それはミルカの態度次第だな。……おい。やることがあるだろう?」
「は、はい……」
ミルカがおずおずと服を脱いでいった。
…………一糸纏わぬ姿となったミルカが地面に正座のポーズを取る。
体が震えている。
恥ずかしいのか、屈辱なのか、恐怖なのか。
まあ、どれでも同じことだな。
「さあ、態度で示せ」
「うう……。この度は、アタシの不徳のせいで、あなた様に不快な思いをさせてしまって、本当に申し訳ありませんでした……。どうかお許しくださいませ……」
「うむ。それで?」
「アタシを煮るなり焼くなり、お好きなようになさって構いません……。どうか、この村だけはお見逃しくだいませ……。お願いします、お、お、おねがいしまああすぅ~!」
ミルカが涙ながらに訴えてくる。
おお、なかなかいい感じじゃないか。
調教のし甲斐がありそうだな。
「うう……」
「ミルカぁ……」
少し離れたところで倒れている男連中からも嗚咽が漏れている。
お前らも、俺に殺されずに済んでよかったな。
それに、いいものが見れただろう?
自分では気づいていないのかもしれないが、ズボンに膨らみができているぞ。
ミルカの全裸土下座を見て興奮しているのがバレバレだ。
「よし。お前の謝罪は受け取った。特別に許してやろう。そもそも、俺がこの村に来たのは盗賊団を殲滅するためだしな」
「ほ、本当ですか!?」
ミルカがパッと顔を輝かせる。
単純だな。
「ただし、条件がある」
「じょ、条件でございますか!?」
ミルカの顔が強張った。
「今夜、俺に付き合ってもらう。一晩かけてたっぷり可愛がってやろう。お前は、自分の犯した罪の大きさを骨身に染みて知ることになるぞ」
「ひっ!?」
ミルカが小さく悲鳴を上げる。
その顔には絶望が広がっていた。
「安心しろ。別に取って食おうというわけではない」
俺はニヤリと笑う。
「ただ、俺の熱情を受け止めてもらうだけだ。お前も満足するはずだ」
竜の加護を与えてやれば、こいつにも利はある。
「そ、そんな!」
「なんだ。何か不満でもあるのか?」
「あ、ありません! 何でも致します!」
ミルカは必死だった。
その目は恐怖に染まっている。
「くくく……」
俺はそれを見ながら笑っていた。
いかんな。
俺はこんなに嗜虐的な性格だっただろうか?
弱者を虐げて楽しむとは……。
これでは弟ガルドのことをどうこう言えないではないか。
高ランクのスキルを得た者は、暴走する宿命なのか……?
いや、精神力の問題かもしれない。
俺はまだ、罪を犯していない者を殺したことはない。
その点では、ガルドとは明確に違うはずだ。
精神を強く保つのだ。
リリアは人化しているだけで、もとは竜だ。
俺が人々を虐げていてもほとんど気にしない。
アイシャは、完全に俺へ隷属している。
俺がすることに口を出すことはない。
きちんと俺自身が自分を律する必要がある。
まずは、この村のために盗賊団を殲滅してやることにしよう。
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