S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

45話 全裸土下座

公開日時: 2021年12月31日(金) 09:36
文字数:1,754

 騒ぎを聞きつけた村の男たちがやって来た。

 彼らが俺を囲む。


「くたばれやあぁ!」


「ミルカちゃんに手出しはさせん!」


 男たちが剣を振り上げ、俺に向かってくる。


「馬鹿が。身の程をわきまえろ。【フレイム】」


 俺は右手を前に出す。

 そして、魔法を唱えた。

 ゴオオオォッ!

 俺の手のひらから炎が噴き上がる。

 その熱気だけで、近くにいた村人たちが悲鳴を上げた。


「ぎゃあああっ!」


「熱い!」


 もちろん火力は押さえていたので、焼け死ぬほどではない。

 この程度の炎にビビるとは、獣かよ。


「【指弾】」


 俺は指を勢いよく弾き、空気の塊を射出する。

 指パッチンの強力版と言ってもいい。


「ぐえっ!」


「ぎゃあっ!!」


 男たちがダメージを負っていく。

 もちろん殺してはいない。

 ただ絡んできただけの村人を殺すほど俺は狭量ではないからな。


「ふむ。この程度の人材しかいないようでは、数十人程度の盗賊団を脅威に感じるのも無理はないか」


「ぐっ! ぐぬぬ……」


 村長が悔しそうに歯噛みする。


「まあ、そう深刻に考えるな。この俺に任せていれば、盗賊団など軽く撃破してやるさ。この村にも安寧が訪れるだろう」


「…………」


「だが、このミルカといい、男どもといい、態度が気に入らない。俺をわざわざ村に呼びつけておいて、この仕打ちは何だ?」


「ひ、平に! 平にご容赦を!!」


 村長が土下座をする。

 俺の戦闘能力を間近で見て、もはや逆らう気も失せたのと思われる。


「それはミルカの態度次第だな。……おい。やることがあるだろう?」


「は、はい……」


 ミルカがおずおずと服を脱いでいった。

 …………一糸纏わぬ姿となったミルカが地面に正座のポーズを取る。

 体が震えている。

 恥ずかしいのか、屈辱なのか、恐怖なのか。

 まあ、どれでも同じことだな。


「さあ、態度で示せ」


「うう……。この度は、アタシの不徳のせいで、あなた様に不快な思いをさせてしまって、本当に申し訳ありませんでした……。どうかお許しくださいませ……」


「うむ。それで?」


「アタシを煮るなり焼くなり、お好きなようになさって構いません……。どうか、この村だけはお見逃しくだいませ……。お願いします、お、お、おねがいしまああすぅ~!」


 ミルカが涙ながらに訴えてくる。

 おお、なかなかいい感じじゃないか。

 調教のし甲斐がありそうだな。


「うう……」


「ミルカぁ……」


 少し離れたところで倒れている男連中からも嗚咽が漏れている。

 お前らも、俺に殺されずに済んでよかったな。

 それに、いいものが見れただろう?

 自分では気づいていないのかもしれないが、ズボンに膨らみができているぞ。

 ミルカの全裸土下座を見て興奮しているのがバレバレだ。


「よし。お前の謝罪は受け取った。特別に許してやろう。そもそも、俺がこの村に来たのは盗賊団を殲滅するためだしな」


「ほ、本当ですか!?」


 ミルカがパッと顔を輝かせる。

 単純だな。


「ただし、条件がある」


「じょ、条件でございますか!?」


 ミルカの顔が強張った。


「今夜、俺に付き合ってもらう。一晩かけてたっぷり可愛がってやろう。お前は、自分の犯した罪の大きさを骨身に染みて知ることになるぞ」


「ひっ!?」


 ミルカが小さく悲鳴を上げる。

 その顔には絶望が広がっていた。


「安心しろ。別に取って食おうというわけではない」


 俺はニヤリと笑う。


「ただ、俺の熱情を受け止めてもらうだけだ。お前も満足するはずだ」


 竜の加護を与えてやれば、こいつにも利はある。


「そ、そんな!」


「なんだ。何か不満でもあるのか?」


「あ、ありません! 何でも致します!」


 ミルカは必死だった。

 その目は恐怖に染まっている。


「くくく……」


 俺はそれを見ながら笑っていた。

 いかんな。

 俺はこんなに嗜虐的な性格だっただろうか?

 弱者を虐げて楽しむとは……。

 これでは弟ガルドのことをどうこう言えないではないか。


 高ランクのスキルを得た者は、暴走する宿命なのか……?

 いや、精神力の問題かもしれない。

 俺はまだ、罪を犯していない者を殺したことはない。

 その点では、ガルドとは明確に違うはずだ。


 精神を強く保つのだ。

 リリアは人化しているだけで、もとは竜だ。

 俺が人々を虐げていてもほとんど気にしない。

 アイシャは、完全に俺へ隷属している。

 俺がすることに口を出すことはない。

 きちんと俺自身が自分を律する必要がある。

 まずは、この村のために盗賊団を殲滅してやることにしよう。

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