「こいつはガルドだ。いろいろあって女体化しているけどな」
「あ……ああ……」
ルーシーは怯えた表情を浮かべると、ガタガタと震える。
そして、涙目になった。
「や……いや……」
彼女はそう呟くと、両手で自分の顔を覆う。
そして、小さくしゃくりあげた。
「お……おいっ!?」
ガルドが困惑しながら言う。
俺は肩を竦めた。
「やっぱり、駄目みたいだな」
「なっ……!?」
ガルドが驚愕する。
彼女は慌ててルーシーに声をかけた。
「そんなに怖がらないでくれよ! 俺は反省してるんだ! なぁ、おい!! お前が許してくれねぇと、俺はお兄ちゃんに――ぐげっ!?」
「大きな声を出すな。ルーシーが怯えているだろ」
俺はガルドの脇腹に拳を叩き込む。
彼女は苦しそうな表情を浮かべて、その場に跪いた。
「げほっ……」
「ルーシーが怯えている以上、やはりお前の存在は消し去った方が良さそうだな」
俺は少しばかり残念に思う。
クソみたいな弟だったが、これでも家族として多少の情は残っていたのかもしれん。
それに、ブリケード王国の支配において便利な駒だったし、一戦力としても優秀だった。
奉仕の技術も向上中。
決して使い勝手の悪い奴ではなかったのだが……まあ、仕方がないことだ。
「ま、待ってくれぇ! 俺に時間をくれ! この平民娘に、何とか俺の無害さをアピールするからぁっ!!!」
ガルドが必死の形相で叫ぶ。
自分の命が懸かっているのだから当然か。
ルーシーに悪影響を与えない範囲でなら、少しぐらいの猶予を与えてやってもいいが……。
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