「グオォォォォオオオン!!!」
竜と化した俺は、地下室を進んでいく。
そして、一番奥の扉を尻尾で薙ぎ払う。
バタン!
(むっ! これは……)
そこは地下牢であった。
牢屋の中に、人間が閉じ込められている。
おそらくは違法奴隷だろう。
「ひ、ひいぃ……! 竜がこんなところまで!」
「た、助けてくれぇっ!!」
「殺されるっ! 殺さないでくれっ!」
「お、俺たちはただの雇われで……」
牢屋の外にいる男どもが口々に叫ぶ。
だが、そんなことはどうでも良かった。
俺の目を引いたのは、檻に閉じ込められた少女である。
ボロ布のような服を着せられていて、まるで家畜のように扱われている。
「う……あ……」
彼女が虚ろな目でかすかな声を漏らす。
髪は綺麗な水髪で、美少女と言って差し支えないだろう。
「お前たち……何をしている! 早くその竜を追い払えっ!」
「し、しかし、旦那……! 竜なんてどうやって……!」
「知るかっ! そこをどうにかするのが、お前たちの仕事だろうが!」
この偉そうなオッサンが、違法奴隷商か。
そして周囲の薄汚い男たちが雇われた盗賊やチンピラといったところだな。
「ふん……! ここは俺に任せておきな」
狼狽える薄汚い男たちの中に、1人だけ度胸のある奴がいたようだ。
そいつが前に出てくる。
「おおっ! 頭領!」
「かつてはB級冒険者にまで上り詰めたが、同業の女冒険者を強姦した後に殺して除籍された! 伝説の男!!」
「確かに、頭領なら竜ですら何とかしてくれるはずだ!」
男たちが落ち着きを取り戻す。
あの頭領とやらはなかなかやる男のようだ。
B級冒険者か。
名目上のランクは、俺と同等である。
「いいか? たとえ竜が相手でも落ち着いて動きを見極めれば――プギャッ!!!」
「頭領ぉおーーっ!!」
講釈を垂れる頭領が、俺の尻尾ではじけ飛んだ。
そして壁に激突し、見るも無惨な姿となり死亡したのだった。
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