「それでは、これよりライル様とルーシー様の披露宴を行います!」
そんな司会の言葉と共に、新郎新婦が入場する。
2人が登場しただけで、盛大な拍手が沸き起こった。
「それでは……乾杯のご発声をお願いします」
「ああ」
司会に促され、新郎ライルが一歩踏み出る。
「今日は集まってくれてありがとう。みんなのおかげで、俺たち2人は結ばれた。だが……同時に多大な迷惑もかけてしまったと思う。俺がこの村に来なければ、ガルドによる襲撃だって――」
「おうおう! 難しいことはよく分からねぇが、今日がめでたい席だってことは分かってるぜ!! 湿っぽい話は要らねぇ!!」
村人の1人が叫ぶ。
そんな彼に、ライルが声をかけた。
「ダストン……。参加してくれてありがとな。そして、すまなかった。蘇生が遅れて……」
「いいってことよ。ライルの小僧にもいろいろあったみてぇだからな。な? ツルギの小僧」
「はい! ライルの兄貴にもらったこの剣で……今度こそ、村のみんなを守り抜いてみせるぜ!!」
「だそうだ。安心しろよ。ライルの小僧」
「ああ……」
ダストンやツルギの言葉に、ライルは頷く。
結婚式に続いて披露宴が開かえれているこの村は、ルーシーの故郷だ。
そして、王家を追放された直後のライルが逃げ延びた場所であり、追跡してきたガルドによって壊滅させられた村でもあった。
ライルは追加製作したエリクサーで村人たちを復活させ、村を復興させた。
そして、ルーシーとの結婚式を挙げているのである。
そんなライルを、村人たちは祝福してくれた。
「うふふ。私の娘も、ライル様のように強く、たくましく、そして優しく育ってほしいですわ」
「大丈夫さ。ヤエという素晴らしい名を、ライル様に頂いたのだから」
「ヤエ……か。赤ちゃんまで参列してくれて、嬉しいよ」
「あうー! あうあう!!」
ヤエが満面の笑みを浮かべる。
そんな赤ん坊を見て、ライルの口元に笑みが漏れた。
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