「も、申し訳ございません! あの時の非礼をお詫びします」
「あの時って言うと……俺が父王やガルドから追放を言い渡された時か?」
「そ、その通りでございます……」
女性使者はかしこまった様子で答える。
彼は、追放の場で俺を庇わなかったことがある。
いや、彼だけではなく、その場にいる全員が追放を止めなかった。
まぁ、バリオス王やガルド王子に異論など唱えられるはずもなかったのだが。
「ふん。今さら謝罪など不要だ。あの場で、お前がどう言ったところで結果は変わらなかっただろう」
俺は鼻で笑う。
使者は顔面を蒼白にしつつ、その場に跪いた。
「わ、我々ブリケード王国は……貴方様との同盟関係を望んでおります」
「ほう? その心は?」
俺は興味深そうに使者に尋ねる。
使者は顔を上げて、俺の表情を窺いながら答えた。
「貴方様の御力は強大です。しかし一方で、我々ブリケード王国も多大なる戦力を有しております。我らが争い合えば、いたずらに被害が拡大することでしょう」
「なるほど。それで、同盟関係か」
使者は頷いた後、再び言葉を続ける。
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