「いや、そういうわけではない。適当な奴を攫ってきて、奴隷として躾ければいいと思ってな。その雌豚は、見ての通りかなりブサイクだからな。性奴隷は少しでも可愛い方がいい。そうだろ？」

「なるほど……！　確かに、ライルさまの言う通りです！　では、このメスタは殺処分の方向で――」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ！？」

　ミルカの言葉に反応し、声を上げるメスタ。

　そんな彼女を無視し、俺は話を続ける。

「なぁ、ミルカ。雌豚が人間の言葉を発している気がするんだが……気のせいかな？」

「気のせいでしょう。まさか、いまだに自分は人間だと勘違いしているわけないですよね」

　俺とミルカが目を向けると、メスタが顔を真っ青にして体を震わせる。

　そんな彼女に、俺は救いの手を差し伸べてやることにした。

「まぁ、豚であっても死ぬのは怖いか。……よし、豚らしく命乞いできれば、殺処分を見送ろう。それでいいだろ？　ミルカ」

「はい。ライルさまがそう仰るのであれば。しかし、この雌豚にまともな命乞いができるかどうか……」

　そんな話をしている間にも、メスタは俺に縋るような視線を向けていた。

　まるで捨てられた子犬のようだ……という例えが思い浮かぶ。

　しかし、視線を向けるだけでは命乞いとは言えないな。