S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

42話 vsミルカ

公開日時: 2021年12月27日(月) 06:14
文字数:1,040

 村長の孫娘ミルカと交戦中だ。

 俺は回避に専念して穏便に済ませてやろうとしているのだが、彼女はまだまだやる気だ。

 実力の差がわからないのかね。


「なんだと!」


 ミルカがまたも激高する。

 彼女が怒涛の連撃を放ってくるが、全て回避する。


「くそっ! 当たりさえすりゃ一発なのに!」


 どうやら彼女は攻撃力に自信があるようだ。

 ならば……。


「ふん。当ててみろよ」


 俺はそう言って、仁王立ちする。

 どうぞ攻撃してくださいと言わんばかりの体勢だ。


「馬鹿にしやがってぇえええ!!!」


 ドガッ!

 彼女のパンチが俺の顔面にヒットする。


「手応えあり! どうだ!?」


「大したことないな。どんどん来い!」


「やせ我慢しやがって! なら、再起不能になるまで殴り続けてやるぜ!!」


 ミルカの攻撃のギアが上がる。

 なかなか悪くない連撃だ。

 こんな田舎の山村にも、有望な者がいるものなんだな。

 よしよし……。

 この調子でどんどん上げていけ……と思ったところで、彼女の動きがピタリと止まった。


「お、お前……。なんで倒れないんだよ……」


 見ると、先ほどまでの勢いはどこへやら、真っ青になって震えている。


「ん? もう終わりか? なかなか悪くない攻撃だったぞ。かゆみを覚える程度の威力はあった」


 俺はそう言う。

 S級スキル竜化の副次的な恩恵により、人間形態における防御力もずいぶんと増している。

 低威力の攻撃などでは、もはやほとんど何も感じない。

 かゆみを覚えるだけ、この少女の攻撃は悪くないレベルだと言えるだろう。


「バケモノだ! コイツ、人間じゃねぇ!!」


 失礼な奴だ。

 だが、俺はあえて何も言わない。

 ギロッ!

 俺は少女をにらみつける。


「ひ、ひぃいいいっ!」


 情けない声を上げながら、彼女は一目散に逃げていこうとする。

 しかし……。


「どこへ行こうというのだ?」


 俺は超速で彼女の前に回り込み、そう言う。


「ああああっ!! どけ、バケモノ!!!」


 少女が俺の顔面に渾身のパンチを叩き込む。

 俺が一瞬でも怯めば、そのスキに逃げようという意図だろう。

 しかしもちろん、俺がこの程度の攻撃で怯むことはない。


「だから言っているだろう? 無駄だと」


 俺はそう言いつつ、ミルカの頭を鷲掴みにする。


「うわぁああ! 放せっ!」


「うるさいな……。少し黙れ」


 俺は手のひらに少し魔力を込めて、彼女に流し込んだ。


「あ、ああああぁっ!!」


 彼女が悲鳴を上げる。


「く、くそっ! やめろぉ!!」


 なおも抵抗しようというのか。

 その気概だけは認めよう。

 だが、そろそろ俺たちに協力的な態度を取ってほしいのだがな。

 何か、彼女の心を折る手段はないものか。

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