「見ろ……。ライル様だぜ」
「間違いない。俺たちの英雄だ」
「うわー! 本物初めて見た!」
「お前はあの時期、用事で村を離れていたもんな」
「握手してもらってもいいかな?」
「わたしもお願いしたい!」
「俺はサインをもらいたいぜ。前に貰い損ねたからな」
「わ、私も!」
村の広場に行くと、村人たちがザワつき始めた。
みんな好意的な反応を見せている。
ちょっと恥ずかしいな……。
「ライル様、こちらへ」
「ああ」
俺はキーネやリリアと共に、老人の後についていく。
しばらく歩き続けると、やや大きめの家へとたどり着いた。
「ここは……」
「私の家です。妻と娘夫婦、それに孫のミルカがおります。会いに行ってあげてくださいませ」
「わかった」
元より、ミルカに会うためにこんな辺鄙な村までやって来たのだ。
あいつは元気にしているだろうか。
俺がミルカと別れたのは、いつ頃だったか……?
よく覚えていないのだが、確か数か月ぐらい前だな。
ヤンチャで素朴な村娘だった彼女が、どのような成長を見せているか見ものである。
「入らせてもらうぞ」
S級スキル竜化を持つ俺が、たかが人族の家へ足を踏み入れるために畏まる必要は全くない。
しかしそれはそれとして、一応は俺の関係者の家でもある。
俺の可愛いミルカ。
最初は『壊れてもいいオモチャ』として近くに置き、少しして『ペット』に昇格させた。
今は……俺と同格などということはさすがにないが、ペットよりは上ぐらいだろうか。
彼女との再会を楽しみにしつつ、俺は扉を開ける。
すると、そこには――
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