「ああ。俺もそうだと思っている。今回のチャンスは逃したくない」
シルバータイガー自体は、極端に珍しい魔物ではない。
ただ、エリクサーの材料として十分な効力を発揮するには、魔力が十分に含まれたシルバータイガーの牙が必要なのだ。
俺たちがわざわざストレアに来たのは、ここがシルバータイガー狩りの地として有名な場所だからである。
このチャンスを逃せば、ストレアでの滞在を大幅に延期するか、その他の地へ旅立つかしなければいけなくなるだろう。
「おい、ご主人。来たみたいだぜ」
「ああ、そのようだな」
レスティの言葉通り、遠くから足音が聞こえてくる。
「――ガウッ! ……グルルッ!」
現れたのは巨大な虎だった。
4本の脚で歩くシルバータイガーはこちらへゆっくりと近づいてくると――やがて、俺たちの前で立ち止まった。
「なかなかの迫力ですね。ミドル・ボアよりも強そうです」
「骨が折れそうな仕事だな」
「はい。ギルド職員として危険性だけは認識していましたが……やはり目の前で見ると違います」
「無事に討伐してギルドに卸せば、父も喜ぶでしょう」
サテラ、ミルカ、アイシャ、スピカが口々に言う。
シルバータイガーは、獲物を威嚇するように喉を鳴らしている。
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