「そいつがどうしたのだ?」
「……その子の名前……『メスタ』じゃないですか?」
キーネが震えた声で言う。
そういえば見覚えがあるな……。
たしか、この村の近くに巣食っていた女盗賊だったか?
いや……ああ、そうだ!
彼女は盗賊じゃない。
盗賊に囚われていた女冒険者だった。
メスタ、メスタだな。
よし、思い出してきたぞ。
メスタはキーネや他数人の男と共に、冒険者パーティを組んでいた。
村人たちに忠告されたにもかかわらず、盗賊退治に挑戦して失敗。
男メンバーは殺され、キーネとメスタだけが生きて捕らえられていたのだ。
器量よしで失敗を反省しているキーネは俺のペットにした。
その一方で、醜女で過去を反省しないメスタは俺がその場でボコボコにしてやった。
それにより一応の反省はしたようだったが、元より醜女であり俺のペットにする価値はない。
殺処分するのももったいなかったので、村人に雌豚奴隷として譲渡したのだ。
あれからそれなりの期間が経過した。
村人たちから奴隷らしい扱いを受けていたようで、かつての面影はかなり薄れている。
俺が気づかないのも仕方ない。
気づけたキーネの観察眼がしっかりしているということだろう。
「よう、メスタ。元気にしてたみたいだな」
「ブヒィィィイイン!!」
俺がケツを蹴り上げると、メスタは豚のような鳴き声を上げた。
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