(弱すぎだろ……。本当にこれで元B級冒険者なのか?)
いや、俺が強すぎるのかもしれない。
そこらの盗賊の戦闘能力を1とすれば、頭領は2。
そして俺は1万といったところか。
アリ同士の強さの差異など、S級スキル竜化を持つ俺からすれば些細な違いである。
「グオォォオオン……」
俺はひと鳴きしてから、他の構成員たちに視線を向ける。
すると、奴らは顔を青くして一歩後ずさった。
「りゅ、竜がこっちを見た!」
「俺らごと吹き飛ばすつもりじゃ!」
「ああ、そうに違いない!」
「逃げよう!」
「だ、だけどよう。出口はあっちにしかないぞ」
男たちが俺の背後に視線を向ける。
このアジトの機密性を確保するためか、出入り口は1箇所しか存在しないようだ。
つまり、奴らに退路はない。
「グオォォオオン!!!」
俺は再び一吠えし、手近にいた男を捕まえる。
そして、力任せに振り回した。
「うわぁぁぁっ!」
ドゴォンッ!!
地面に激突し、男は死亡した。
即死だ。
俺は死んだ男を放り捨てると、次の男に狙いを定める。
「ぎゃあああぁっ!」
「ひぃぃっ!」
「うわああぁっ!」
男たちが次々に倒れていく。
奴らが悲鳴を上げなくなるまで、それほど時間はかからなかった。
(さて……、残ったのは違法奴隷商のみか)
最後の一人は、檻に閉じ込められた少女の前で尻餅をついていた。
「お、お前……、儂らに何の恨みがあるのだ!?」
その言葉を聞いた瞬間、俺はなんとも言えない気分になったのだった。
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