そして、宮殿内を少し歩くと――
「ご主人! ここにいたのか!!」
「ん? レスティか」
全軍指揮官のレスティが、俺の姿を見つける。
紅猫族として高い素質を持つ上、俺から『竜の加護』まで受けている彼女は強い。
軍事系の仕事はほぼ彼女に任せている。
「どうしたんだ? 何か問題でも?」
俺を君主とする『聖竜帝国(ホーリードラゴン・エンパイア)』の戦力は盤石だ。
隣国の『ブリケード王国』にはガルドという傀儡君主を置いており、実質的には俺の支配下にあると言っていいだろう。
その他の近隣諸国に支配権は及んでいないが、俺たちに歯向かえるほど強力な国は存在しない。
コソコソとちょっかいを出してくる程度だ。
些末な問題だろう。
レスティがわざわざ俺を呼び止めるほどの問題は想像しにくい。
「実は……反乱の動きがある」
「反乱? へぇ……。どこの連中だ?」
俺は首を傾げる。
レスティは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
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