俺は愚弟のガルドと戦っている。
S級スキル【竜化】に手も足も出ない彼は、ロゼリアを人質にとって俺を脅してきた。
しかし、そんなことで怯む俺ではない。
あっさりと人質を奪ってやる。
「お前もようやく終わりだな! 弟よ!!」
「ふざけるなっ! 雑魚が、俺を弟と呼ぶんじゃねぇ!!」
魔力と闘気を開放して駆けていく俺に向かって、ガルドが斬りかかってきた。
A級スキル【剣聖】による神速の一閃だ。
しかし……。
キィンッ!!
「なっ……!?」
俺はそれを右手の人差し指と中指だけで受け止める。
そして、左手でガルドの首を掴んだ。
「ぐぐ……! く、苦しい……! 離しやがれ……!!」
「さっきまでの威勢はどうした? ほら、剣を振ってみせてくれよ?」
ギリッ。
首を掴む手に力を込めた。
「が、は……っ!!」
ガルドが剣を落とす。
……勝負あったな。
A級スキル【剣聖】持ちが剣を手放してしまっては、もはや何もできまい。
「さぁ、これで俺の勝ちだ。大人しく罪を償うがいい、ガルド」
「ば、バカな……。ははは……。A級スキル【剣聖】を持つ俺は負けない……。俺は最強なんだ……。俺は王になる男なのにぃ……」
ガルドはブツブツとうわ言を繰り返す。
しかし、戦意は完全に喪失しているようだった。
もう、脅威ではない。
「お前には3つの罪がある。1つ目は、俺を王族から追放したこと。2つ目は、罪無き村人たちを虐殺したこと。そして3つ目は、ルーシーを強姦した上で殺したこと。これらの罪で裁かれる覚悟はあるか?」
「ひいっ! み、見逃してくれ!! お前が王族に戻ることを認めてやるから!!」
ガルドは涙を浮かべ、命乞いを始めた。
どこまで腐った野郎なんだ。
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