「な、なんだと……?」
「こいつの顔に見覚えないか? お前の子だよ」
バリオス王は目を見開く。
俺が呼び出した少女の正体は、もちろんガルドだ。
試作エリクサーの副作用により、なぜか女体化したのだったな。
「そ、そんな……。いや、まさか……。あり得ん……」
「現実を受け止めろって。それで、どうする? 一応はちゃんとした血筋の奴を用意してやったんだ。まだ拒否するなら、お前には消えてもらうが?」
「…………」
「国王が死んだら、いよいよこの戦争は収集がつかなくなるかもなぁ。兵士は全滅するとして……国民は何割死ぬかな? 俺としては、別にそれでも構わないが」
バリオス王は絶句する。
もはや、彼に選択の余地はなかった。
「わ、分かった……。降伏し、ガルドに王位を譲る……」
「うむ。賢明な判断だ」
俺は満足げに頷く。
言うまでもないことだが、ガルドは完全に俺の言いなりの存在である。
暴力で屈服させたことに加え、竜の加護の影響もあるからな。
これにて、完全にブリケード王国は聖竜帝国の属国となったわけだ。
(くっくっく……。これで邪魔する奴はもういない。『紅血の水晶石』が手に入った今、エリクサーの完成も近い。いよいよ、ルーシーを生き返らせられる……)
俺は心の中でほくそ笑む。
彼女が生き返ったら、絶対に喜んでくれるだろう。
そのために、俺は塵芥どもをぶち殺してきたんだ。
全ては、ルーシーのため。
(待ってろよ、ルーシー!)
俺は心の中で、愛しき少女の名を呼んだのだった。
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