「グルルルル……!」
ライルがルーシーへの攻撃を中断し、唸り声を上げる。
最愛の存在を前にして、人の心を取り戻したのだろうか?
いや、違う。
彼はルーシーから、得体の知れない雰囲気を感じ取っていたのだ。
「ライル様……。あたいを生き返らせてくれたのは感謝してるよ。あの村でのライル様と暮らした日々は、あたいにとっての宝物さ」
ルーシーはつぶやく。
彼女の脳裏によぎるのは、ライルとの思い出だ。
『そ、そうか……。苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ』
『悪いな。面倒をかける』
『いや、いいさ。ライル様にはいろいろと助けてもらった恩もあるしな。父ちゃんと母ちゃんには、あたいから説明しておくよ』
あの日、追放され殺されかけたライルをルーシーは受け入れた。
かつて村の窮地を救ってくれた恩人に報いるときがきたと考えたのだ。
そしてまた別の日には、こんなやり取りもあった。
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