「スピカやサテラは怖くないのか?」
「はい。私も、いつか空を飛んでみたいと思っていたんです」
「風がとても心地良いです!」
後ろを振り返ると、目を輝かせた二人がこちらを見上げていた。
うん、実に可愛い。
二人とも、このぐらいのことで動じなくて非常によろしい。
一方――
「キーネさん、大丈夫ですか?」
「ううぅ……」
冒険者ギルド職員のアイシャがキーネに話しかけるが、返事をする余裕すらないようだ。
あまりの恐怖にガクガクと震えている。
これじゃあ、まるで俺が悪いことをしたみているいではないか。
「まったく……。仕方のないヤツだな」
俺は小さくため息をつくと、飛行スピードを上げた。
同時に高度も上げていく。
「うわああぁっ!! ひいいぃっ!!!」
「ほらよっと」
「あばばばば……。…………」
すぐにキーネの声は聞こえなくなった。
気絶したようだ。
「ふむ……」
悲鳴が聞こえなくなって、飛び心地が良くなった。
中途半端な速度で飛ぶからダメだったんだ。
いっそのこと、キーネが耐えきれずに気絶するくらいの速さで飛んでやった方が良かった。
満足した俺は、さらに速度を上げる。
「お、おい人族……これ以上はもう……」
「はああぁっ!!!」
何か聞こえた気もするが、気のせいだろう。
ぐんぐん景色が流れていき、見渡す限りの地平線が見えるようになる。
この世界は本当に広いな。
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