「ふっ……。親衛隊か。その言葉を聞くのはいつ以来だろうな」
ライルが苦笑する。
いろいろなことがあった。
父王バリオスによって、王族から追放された。
弟である第二王子ガルドによって殺されかけた。
村娘ルーシーの元に逃げ一時は平和に暮らしたものの、追ってきたガルドによってルーシーを含む村人が皆殺しされた。
竜王リリアによって見初められ、ルーシーたちを蘇生させるエリクサーの存在を知った。
そして、ストレアにやって来てその材料集めに奔走した。
「それで? 今さら俺に何の用だ?」
「もちろん、私どもの国に戻っていただきたいのです!」
「はぁ? 外れスキル持ちとして追放した俺を呼び戻すと?」
「若様が短期間の内にAランク冒険者になられたことは把握しております。それはすなわち、貴方様が持つスキルが外れなどではなかったことの証明となります! バリオス陛下やガルド殿下も、貴方様を再び王子として迎えれるおつもりのようです!!」
「…………」
ライルはその言葉を黙って聞いていた。
喜んでいる様子はない。
ただ、無表情だった。
「ロゼリア」
「はっ! いかがしましたか? 若様」
「――俺を舐めているのか?」
「え? ――ひ、ひぃっ!!??」
瞬時に雰囲気の変わったライル。
ロゼリアは思わず悲鳴を上げた。
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