「ひ、ひっ! 離してくれ! 頼む! 俺はまだ死にたくないんだ!!」
「せっかく燃えている仲間がいるのだから、お前も一緒に心中すればいい。お前たちは仲間だろう?」
「なにいぃっ!? うわああぁっ!」
彼を掴み上げ、3人の方へ放り投げた。
「「「お前も道連れだああぁっ!!!」」」
「ぎゃあっ! やめてくれ! やめて……ああぁっ!」
ボォッ!
3人が彼を囲み、火が移っていく。
「ぎゃあああぁっ!!!!」
「「「あはははははっ!」」」
燃え盛る炎の中、彼らは笑っていた。
熱さと激痛でそれどころではないはずだが……。
死を間近にして、正気を失っているのだろう。
放っておいても、いずれは死ぬ。
全身の火傷、あるいは酸欠によって。
だが、これほど愉快なダンスを見せてくれたのだ。
最後くらい、派手に逝かせてやろう。
俺は発動済みで部屋の中に浮かんでいる『プロミネンス・ボール』に意識を向ける。
「【弾けて混ざれ】っ!!!」
俺が火球の中に魔力を注ぎ込んだ途端――
激しい爆発音とともに部屋全体が火の海になった。
「……かっ……あ……」
「ぎゃっ……」
チンピラたち4人は、まともに悲鳴すら上げられずに消し炭になって絶命した。
「ふん。汚ねぇ花火だ」
俺はそう呟く。
とはいえ、チンピラの最期にしては上々のものだったから。
ゴミクズでも、最期に俺を少しだけ楽しませることができたのだ。
感謝してほしいくらいだ。
「それにしても……。我ながら、素晴らしい魔法制御力だな」
S級スキル竜化を持つ俺の戦闘能力は抜きん出ている。
身体能力をフルに発揮すれば、人体など木端微塵になる。
全力で魔法を放てば、そこらの町など灰燼と化すだろう。
ほどほどに威力を抑えたとしても、数件程度の家が廃墟となる威力は出してしまう。
だが、目の前の光景はどうだ?
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