「ああ。奴がルーシーに手を出すことは二度とない。俺と共に、幸せになろう」
「ら、ライル様……」
ルーシーはやや戸惑いつつも、頬を赤らめる。
そして、ギュッと抱き返してきた。
「でもさ……。何か、おかしな感じがすんだ……」
「ん? どういうことだ?」
俺は聞き返す。
すると、ルーシーは困惑と恐怖が入り混じった表情で言った。
「頭の中に……誰かの声が響いてくるんだよ……。それも1人や2人じゃない……。たくさんの人たちが『助けてくれ』『ここから出して』って叫んでいて……」
「何だ、そんなことか」
「そんなことって……」
「俺はルーシーを蘇生させるため、エリクサーを作ったんだ。おそらく、その素材にした有象無象の魂の残滓だろう。安心しろ。それらは全て、もう死んでいる存在だ」
俺はそう説明する。
そんな者たちの魂なんかより、ルーシーが無事に生き返ったことの方がよっぽど嬉しい。
正直、どうでもいい。
ルーシーもすぐに納得してくれるだろう。
俺はそう思った。
だが、彼女の表情は一向に晴れない。
それどころか、ますます表情が険しくなっていくのだった。
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