「何者だ? なぜ、俺を狙った?」
「……」
俺が問うても、男は答えようとしなかった。
ただ黙って、こちらを睨みつけているだけだ。
「だんまりとは……。それならそれで構わないぞ。お前を殺して、悠々と地下へ向かえばいいんだからな」
「くそがぁ……!」
男が、歯ぎしりしながら悪態をつく。
そして、次の瞬間、驚くべき行動に出た。
なんと、自分の腕を斬りつけたのだ。
「うおおぉっ!!」
ボタタッ!!
男の右腕が地面に落ちる。
「ぐっあああっ!!」
「何だと?」
思わず驚いてしまう。
俺が呆気に取られていたほんの数秒の間に――
「死ね!!」
――斬られたはずの左腕が、俺に向かって飛んできたではないか。
「――っ!」
俺はそれを、紙一重で避けることに成功する。
(まったく……どんな手品だ?)
そう思ったのも束の間。
俺の目の前に、新たな『敵』が現れた。
「おわああぁっ!!」
さすがの俺も少しビビった。
バシバシッ!
バシバシィッ!!
いきなり現れた4人の敵を、魔力を込めた拳で殴りつける。
4人とも、バラバラの方向に吹き飛んだ。
全員、首の骨が折れて即死したようだ。
「ふん……。奇襲のつもりだったか? 俺には通じない」
しかしビビった。
俺の見間違いでなければ、さっきの4人は……。
「まだ終わらねぇよ、クソガキが! いくぜぇ! 【ネクロ・マリオネット】!!」
首の骨を折ったはずのの男たちが立ち上がった。
それだけじゃない。
こいつらは――
「やはり、さっき殺したチンピラたちか……」
俺の火魔法で、完全に消し炭としてやったはずだが。
どうして復活したのだろうか。
「きひひっ! C級スキル【ネクロマンス】を持つ俺に楯突いたのを後悔するがいい!!」
あっさりネタバラシするなよ。
興が削がれるだろうが。
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