S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

304話 空の軍勢-3

公開日時: 2024年8月3日(土) 15:39
文字数:809

「わーい! 父よ! リリナがやったのじゃあ!!」


「おい、油断するな。まだ終わってないぞ」


「……え?」


 リリナは強いが、まだ10歳にもなっていない。

 精神的に甘いところがある。


『グルオオオォ!! ジキリュウオウノザ、ワレガイタダク!!!』


 多くの飛竜が氷漬けになった中、1体の竜だけが動き続ける。

 他の個体よりも図体がでかい。

 あれがリーダー格なのだろう。

 油断していたリリナに、リーダー格が襲いかかるが――


「リリナ姉、危ない!」


 一人の少年が、リーダー格とリリナの間に割り込んだ。

 俺の息子であり、リリナの双子の弟であるルークだ。


「はぁっ!!」


 彼は、炎を纏った剣を振るう。

 その剣はリーダー格の首を切り落とした。

 あの年でこの剣さばき……。

 さすがは俺の子だ。

 火属性の魔法も剣技も、俺がそこそこ得意としていた分野である。

 ルークは、それを受け継いでいるのかもしれないな。


「リリナ姉は僕が守る! だから安心して!」


「う……うむ……」


 ルークがリリナを抱きしめる。

 リリナは、顔を赤くした。


「あ……ありがとうなのじゃ……」


 リリナは礼を言う。

 その表情は、まさに恋する乙女の表情だった。

 双子なのに、そんな想いを抱くとは……。

 大丈夫なのだろうか?

 いや、俺も弟のガルドを女体化させていろいろやったし、あまり強くは言えないか……。


「ふぅ……」


 俺はため息をつく。

 とりあえず、空の軍勢の脅威は去ったようだ。


「よくやったぞ、ルーク。もちろんリリナもな」


「えへへ……。おとーさんに褒められたの、久しぶりだね」


「そ……そうか? 俺はいつも褒めているつもりなんだが……」


 ルークに言われ、俺は口ごもる。

 あまり褒められていないのだろうか?

 そんなはずはないと思うが……。


「父よ! 今日の晩ごはんは、竜の丸焼きがいいのじゃ!!」


「そうだな。今夜は祝勝会だ」


 俺はリリナとルークに微笑みかける。

 空からの軍勢というちょっとしたハプニングはありつつも、今日も聖竜帝国には平和な時が流れていくのだった。

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