「ああ、頼むよ。『紅血の水晶石』を入手するためには、戦力が必要だ」
「戦力が必要ってことは……ドラゴンでも倒せばいいのか? ご主人」
「違うな。個として見ればそれよりも弱いが、集団で連携してくる厄介な相手だ。俺ですら、油断をしていたらマズイことになるかもしれない相手だ」
「なにっ? い、一体どんな相手が――」
「待て。続きは後だ」
俺はレスティの言葉を遮る。
ドタドタドタッ!
バーン!!
ノックもなしに、部屋の扉が開いた。
「失礼する! ライル君がここにいると聞いたが!」
入ってきたのは中年の男性だ。
ストレアの冒険者ギルドのギルマスであり、アイシャの父親でもある。
彼は俺を見るなり、詰め寄ってきた。
「なんだ? 騒々しいな。勝手に人の部屋に入っていいと思っているのか?」
「そ、それどころではない! 大変なことになったのだ!」
「どうしたと言うのだ? 最初から詳しく話せ」
俺は首を傾げる。
わざわざここまで来て焦っているということは、相当に切羽詰まった状況のようだ。
「先日のシルバータイガー討伐を受け、ライル君の冒険者ランクはAに昇格したことは伝えた通りだ。そして、高ランク冒険者の情報は各地の冒険者ギルドと共有される……」
「ああ。それで?」
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