深夜、タクトは部屋に戻り、スマホの画面を見つめていた。
そこには、ナオが送ってきたアプリが表示されている。
[GATE SYSTEM - ONLINE]
(本当に……これで行けるのか?)
手が震える。
だが、迷っている時間はない。
タクトはスマホを握りしめ、画面をタップした。
——アクセス開始。
次の瞬間、スマホの画面がまばゆい光を放った。
「——っ!」
視界が歪む。
周囲の音が消え、タクトの意識が沈んでいく。
どこまでも続く暗闇。
しかし、その先に——
「タクト……?」
聞き覚えのある声が響いた。
タクトは、ゆっくりと目を開けた。
そこには、約束の地が広がっていた。
*
タクトはゆっくりと目を開けた。
そこは、現実とは違う世界だった。
見渡す限りの青い空。
どこまでも続く白い草原。
澄み切った風が吹き抜け、懐かしい感覚が胸を満たしていく。
(……ここは……?)
立ち上がると、遠くに一本の大きな木が見えた。
それはまるで世界の中心にそびえるかのように、どっしりと根を張っている。
「……知っている。」
タクトは呟いた。
この場所を、知っている。
幼い頃、早織と二人で描いた地図。
あの時、彼女が言った言葉——
「ふたりだけの世界を作ろう。」
(……約束の地……本当に……。)
だが、現実には存在しないはずのこの場所に、タクトは今、確かに立っている。
「タクト……?」
突然、背後から声が聞こえた。
心臓が跳ねる。
ゆっくりと振り返ると、そこには——
龍野早織が立っていた。
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