空がひび割れ、白い草原が崩壊していく。
「……っ、何が起きてる!?」
タクトは周囲を見回した。
世界が壊れかけている。
「ダイブの時間制限だ……!」
脳裏に、ナオの言葉が蘇る。
「どこに繋がるかはわからない。でも、長くいられる保証はない。」
「ダメ……もう少しだけ、ここにいたいのに……。」
早織の声が震える。
タクトは必死で考えた。
このままでは、何もわからないまま、強制的にこの世界から弾き出される。
「早織!! お前は本当にここにいるのか!?」
「……うん。」
「なら、約束しろ!!」
「……え?」
「絶対に、俺がまたここに来る。だから、それまで……消えないでくれ!!」
タクトは叫んだ。
「俺は、まだお前を失うつもりはない!!」
早織の目が見開かれる。
そして——
世界は、白い光に包まれた。
——目を覚ますと、そこはタクトの部屋だった。
息が荒い。汗が額を伝う。
(……戻ってきた……のか……?)
スマホの画面を確認する。
[GATE SYSTEM - OFFLINE]
アクセスは切断されていた。
だが、それでもタクトは確信していた。
(早織は、確かにあそこにいた。)
彼女はデジタルの世界に囚われている。
そして、このままでは本当に消えてしまう。
タクトは、強く拳を握りしめた。
(……もう一度、行くしかない。)
彼女との約束を果たすために——。
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