いつか魔王になろう

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鍛冶と勇者とトラブルと

公開日時: 2020年9月8日(火) 10:10
文字数:7,594

カッンッ!カッンッ!カッンッ! ジューッ。

カッンッ!カッンッ!カッンッ!カッンッ! ジューッ。


「ふぅ…あとはしばらく冷ましておけば出来上がりだな。」


今打ち終えたばかりの剣をじっくりと眺め、出来栄えを確認する。


うん、中々の出来だ。これなら親父さんも文句ないだろう。


ウーンと体を伸ばし外を見る。ようやく東の空が白み始めたばかりだ・・・・結局徹夜してしまった。ミリィに見つかったらまた怒られそうだな。


「……見つからないうちに帰るか。」


「見つかったらまずいのですか?」


「そりゃ、この間約束したばかりだし、まずいだろ?」


道具を片付けながら答える。


「約束破ったんですか?いけないですねぇ~」


「いや、俺だって、破ろうと・・・・」


待てよ、俺は今誰と話している?

声のした方を恐る恐る見てみると・・・そこに笑顔一杯のミリィが立っていた。


「や・く・そ・く…覚えていますよね?」


とてもかわいい笑顔だが…目が笑っていない。


「ハイ…覚えてます・・・カンカンやるのは日付が変わる前までと…いや、でも、仕方がないんだよ。鍛冶屋のおやじが、どうしても明日中に必要だっていうから・・・」


「レイさんにとっては私より鍛冶屋のご主人の方が大事なのですね。」


よよ・・・と泣き伏す真似をするミリィ。


「そんなことないさ、俺にとってはミリィが一番さ。ミリィのためなら勇者だって倒してやるさ。」


大げさに、オーバーアクションで返す。


「勇者さん倒しちゃダメですヨ。」


「いや、だって、あいつらウザいじゃん?」


「あの方々も頑張っていらっしゃるのですから、応援してあげなくちゃ」


「でもなぁ、今回の事だって元をただせばあいつらのせいだし…ウン、そうだ全部勇者(笑)が悪い」


すべての責任を、先日から街に滞在している勇者に押し付ける。


「じーっ・・・。」


ミリィが黙って見つめてくる・・・


「じーっ・・・。」


黙って見つめてくる・・・瞳に少し涙がたまっているのが見える・・・・


「・・・ゴメンナサイ。今度一日付き合います…。」


ミリィの無言の圧力に対し全面降伏した。出会ったときからミリィには勝てる気がしない。


「ハイ、ちょうど街へ行きたいと思ってたんです。新しいお店が出来たの知ってますか?」


満面の笑顔だ。…この笑顔のためなら、多少の出費は覚悟しよう・・・多少で済むよな?


「ところで、ミリィはどうしてここに?まだかなり早い時間だぜ?」


「牛さんに起こされたんです。」


はい???…話がつながらない。


「牛さんに起こされたんですぅ!昨日からウチに来た牝牛さんが、カンカンうるさいから何とかしてくれと…他の子たちがいつもの事だから慣れろって宥めてくれてたんですけどね。」


環境が変わったばかりだから、とレミィが言う。


「・・・ンと、俺が、ココで鍛冶してる音がうるさくて眠れないと、牛から苦情があったので代わりに文句を言いに来た・・・という事か?」


相変わらず何を言っているかわからない。ミリィが言うには、牛だろうが猫だろうが自己主張されると言葉として理解できる…らしい。


「はい、大体あってます。ただ、文句を言いに来たわけじゃないですよ。」


・・・差し入れです、と手にしていたバスケットからパンと飲み物を出して、近くのテーブルに並べる。


「一段落着いたのなら休憩しませんか?」


「あぁ、ありがとう。」


椅子に座り、ミリィが用意してくれた飲み物に口をつける。程よく温まったミルクが、徹夜明けの胃に優しく染み渡る。


「レイさんが、簡単に約束を破る人だとは思っていませんよ。きっと何か事情があるんだろうってことくらいはわかります。」


あまり無理しないでくださいね、と微笑んでくる。…参ったな。


俺が『工房』と呼んでいるココは村はずれにある小さな小屋だ。


チョットした広場…ミリィは牧場と呼んでいる…を挟んだ向こう側に廃棄された教会があり、普段はそこで寝泊まりしているが、夕食も取らずいつまでも戻ってこない俺を心配して様子を見に来たんだろう。


「それで何があったんですか?勇者さんがどうとか言ってたようですけど?」


「あぁ、今日鍛冶屋の親父の所に顔を出したんだけどな。そこで・・・。」


ミリィに聞かれるまま今日・・・もう昨日か・・・あった出来事を話す。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「親父ぃ、今日も……。」


「ふざけんじゃねぇぞ!!」


俺が最近顔をよく出している武器屋兼鍛冶屋に入ろうとすると中から罵声が聞こえる。


中に入ると、いかにもチンピラという風体の男が店の親父を殴り飛ばしたところだった。


「ウッ、イテテッ・・・ふざけてんのはどっちだ。俺は依頼通りの物を売ったじゃないか!」


「ふざけんな!一振りで折れ曲がるようなモンに3万Gもボッタクリやがって!」


・・・高っ!しかも一振りで折れ曲がるって…そりゃ、誰でも怒るだろ。でも、あの親父がねぇ?


「まぁ、まぁ、まぁ、ちょっと落ち着けって。」


さらに殴りかかろうとした男と、親父の間に割る。


「なんだぁ?ガキは引っ込んでな!」


「もうすぐ15だ、ガキじゃねぇ! それより、ココの親父は、口も性格も悪いがボッタクリだけはしないぜ。」


「これが証拠だ!、モンスターに斬りつけたらこんな風になっちまった。」


男は俺の前にぐにゃりと折れ曲がった剣を突き出す。…あぁ、確かに中程から曲がっているけど・・・これは・・・。


「こんなモンに3万Gだぜ!ぼったくり以外に何だってんだ。」


「イテテテ。純銀製だぜ!装飾含めりゃ3万なんて赤字だよ。」


・・・親父の言葉に剣をよく見てみる。確かに純銀製だ。柄の部分にはめ込んである宝石などの装飾もかなりの出来だ。この出来なら10万Gでも買う奴はいるだろう。しかし…。


「なぁ、アンタ、この剣でどのモンスターと戦ったんだ?」


「そうだ、アンタが『なるべく純度の高い銀で・・・』っていうから、お貴族様に献上する品かと思ったんだ。モンスターと戦うためって知ってたら、そんな無駄な仕事はしねえ。」


親父の言う通りだ。この剣はどう見ても儀礼用で戦闘向けじゃない。大体『銀』なんて柔らかい素材が戦闘に向かないことくらい冒険者ならだれでも知っているはずだが。


「リビング・アーマーだよ!最近、郊外にある「恵みの森」の浅い所に湧き出してるから討伐依頼のクエストが出てるんだ。」


「リビング・アーマーぁ?アホか!」


親父が叫ぶ。


「アホとは何だ!、リビング・アーマーはアンデットだろ?アンデットには銀製の武器だろうが!」


リビング・アーマーは動く鎧だ。悪霊が取り付いて動かしているとも、戦争で亡くなった者たちの無念が鎧だけになっても動いているといわれているアンデットだが・・・。


「確かにアンデットだけど、鎧そのものは普通に鉄か鋼で出来てるとおもうけど?」


「だ、だけどよぅ…」


俺が突っ込むと、男の勢いがなくなる。


「確かに、俺もおかしいとは思うけどよぉ…勇者様が言ったんだよ。」


はぁ?勇者様ぁ?


「一度普通の装備でリビング・アーマー退治に行ったんだよ。だけどあの鎧、鋼鉄製で俺の持っている武器じゃ歯が立たなかったんだよ。で、街に戻ってきて仲間とそのことで愚痴ってたら、お前と同じぐらいのやけに身なりのいいガキが近づいてきてよぉ、勇者って名乗ったんだよ。」


男の言う『勇者』というのは2週間ほど前にこの街にやってきた「自称勇者様御一行」の事らしい。

いかにも騎士と言わんばかりの装備のオッサンと、ローブ、杖、三角帽子といった、これでもか!というくらいテンプレ魔法使い装備の男…だと思う。帽子を目深にかぶっているのでよくわからない・・・と、これまた、いかにも僧侶ですと言わんばかりの法衣を纏った青年。そして俺と同じくらいの少年の4人パーティ。この少年が勇者らしい。


本当に勇者かどうか知らないが、騎士風の男が「どこどこの領主が勇者と認めた」とか何とか言ってたので、勇者なんだろう。


「その勇者様がよ、アンデットには銀の剣だって言ったんだよ。純度が高い程よく効くって。銀の剣は高いけど、リビング・アーマー相手なら倒した後の鎧を鍛冶屋に持っていけば元は取れるっていうし。そもそもリビング・アーマーはちゃんとした装備をしていれば余裕で倒せる相手だって言うから・・・。」


だから、安くて腕がいいという評判のここの親父に依頼したらしい。


「けど、実際に使ってみりゃ曲がって使い物にならねぇ。勇者様が俺みたいな奴を騙す意味もないし、これは剣が悪いって思ったんだよ。」


「はぁ・・・。」


俺はため息をつく。何もわかってない目の前の男にもあきれるが、自称勇者様にもいい加減なことを吹聴するなと言ってやりたい。


リビングアーマーは余裕といわれているのは純粋なアンデットではないからだ。


そもそもアンデットに物理的な攻撃は効かない。しかしリビングアーマーは、鎧そのものがアンデットでも何でもないため物理攻撃が効く。

だから切り裂くか砕くだけの腕を持っていれば普通の武器でも問題ない。余裕で倒せるっていうのはそういう事だ。


そしてアンデットには銀の剣・・・というのは間違ってはいないが正しくもない。


正確には『神の祝福を受けた銀ミスリル銀』の剣が正しい。


さらに言えば魔力を通せばアンデットにダメージを与えることが出来る。

それなりに熟練した戦士であれば、無意識に武器に魔力を通している。いわゆる「気合を込める」というものだ。なので木剣であっても魔力を込める事さえできればアンデットは倒せる。


そして銀は比較的魔力を通しやすい素材のために「銀を使った武器はアンデットに有効」と言われるのだ。


これくらいの事は上級の冒険者なら経験として知っている。ちなみに俺が知っているのはグリムベイブルのおかげなので、あまり自慢できたことでもない。


今回の場合、目の前の男が武器に魔力を込めることが出来る熟練戦士とは思えない…出来るのであればそもそもこんな事になっていないだろう…ので、柔らかい銀でできた剣で鋼の鎧に斬りつけた・・・そりゃ、折れ曲がるよね。


しかし『勇者』を自称するのであればしっかりと説明してやってほしい…まるっきりのウソじゃない分タチが悪い。


「鋼の剣だな。」


ぼそりと親父が言う。


「鋼の剣なら、アンタの力ならリビングアーマーぐらい倒せるだろ。」


「ほんとか?すぐ売ってくれ!期限まであと3日もないんだ。クエスト失敗の違約金を払う金残ってねぇんだよ!」


「出来合いはねぇから制作しなきゃなんねぇが…さっき殴られた時に打ち所が悪くて、しばらく槌が握れねぇ…ってことで、レイの坊主お前が作ってやんな。」


親父が俺に依頼を丸投げする。


「このガキに作れんのかよ…。」


男が不審そうに俺を見る。


俺だって逆の立場ならそう思う。


「急に言われても、俺にだって都合というものが・・・。」


「あぁ、そういえば混合鉄のインゴットの在庫がなくなっちまったなぁ・・・補充しないとなぁ…仕入れ幾らになるかなぁ?」


俺の方を見てニヤリと笑う。


「明日までに鋼の剣1本了解ですっ!」


親父には鍛冶制作を教えてもらっている。最近はそれなりに腕も上がってきたので、練習と称して色々作ったものは出来合い品として店に並べてもらったりもしている。あそこに飾ってある鉄の剣も俺が作ったものだ。


ただ、昨日、気分良く調子に乗って作成していたら中心素材になる混合鉄を、いつの間にか使い切ってしまった。親父によると1ヶ月分ぐらいの受注に耐えられるぐらいの在庫があったようだが、鉄の装備30セットは作り過ぎたらしい・・・。


だから親父はこう言っているのだ・・・断るなら仕入れ代払いな・・・と。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「・・・というわけで、自称勇者とかっていう坊ちゃんのせいで、夜を徹して作るハメになったのだよ。」


全部勇者が悪い、と締めくくる。


「そうですかぁ。それは大変お疲れ様でした。」


でも・・・、と俺が作った鋼の剣が置いてある方を見て不思議そうにつぶやく。


「・・・なぜ、10本もあるんですか?」


なぜ?と見つめてくるミリィから、目をそらす。


・・・言えない、つい調子に乗って作り過ぎてしまったなんて・・・。


「えーっと、・・・それは・・・ですね・・・。」


なんと言い訳しようか考えていると・・・



「あぁ~~、やっぱりここにいたっすね。ずるいっすよ。ワタシをのけ者にして二人でイチャイチャしてたっすね。」


ワタシともイチャイチャするといって、ミリィを後ろから抱きしめる女の子。


「イチャイチャはしてないけど…」


リィズをのけ者になんてしないよ…と言って女の子の頭をなでるミリィ。


「どうしたんだリィズ?まだ夜明け前だぞ?」


リィズが、本気で言ってるんすか?という表情で俺を見る。


「起きたらねぇねもにぃにも居ないから、探してたんじゃないっすか。後、もう十分日が昇ってるっすよ。」


ワタシが起きてるくらいですからね、とリズが言う。


言われて、外を見ると確かに日は高くなっている。

動物たちの世話をしているミリィは日が昇る少し前くらいに起きるのは珍しくもないが、リィズは起こさないと昼頃まで寝ていることもあるくらい朝が遅い。


だからこんな早起きは珍しい…と思っていたのだが、話し込んでいて時間を忘れていたようだ。


「もうこんな時間なんですねぇ~。私はお世話しに牧場に行きますが、レイさんはどうしますか?」


「そうだな、昼頃街に納品に行く予定だけど。」


「じゃぁ、その時一緒に行ってもいいですか?ギルドのお姉さんに頼まれていた物があるので。」


「あぁ、いいよ。」


「にぃに、ワタシも!ワタシも一緒に行く!」


「はいよ。じゃぁリィズはミリィのお手伝いをしっかりな。さぼったら留守番だからな。」


「うん。」


ねぇね~、手伝うよ~と、リィズがミリィを追いかけていくのを見送って、一眠りする為に教会へ戻る。


◇ ◇ ◇


「親父ぃー、納品に来たぞー」


俺は店に入ると、持ってきた鋼の剣9本を親父の前に広げる。


そしてその中から1本を抜き出し「これがあのオッサン用、残りは店売り用」と告げる。


親父は俺の売った剣をしばらくの間じっくりと眺めて…「フンッ」と銅板を3枚投げてよこす。


銅板1枚100Gなので、300Gだ。どうやらこれが買い取り金額らしい。9本納品したから1本あたり30Gちょっと…安過ぎね?


「なぁ、親父ぃ、あのオッサンにいくらで売る予定?」


「銀貨3枚だな。」


銀貨3枚・・・3000Gか・・・もう少し値をつけれる出来だと自負してるんだけどなぁ。


「買取が1/100近いってのはどうなん?」


「1/10だろ?弟子の給金なんてそんなもんだ。悔しかったら自分で店を開け。」


さっきの300Gは、オッサン用の1本の買い取り金額だったらしい。


「じゃぁ、残りの8本はそんなに出来悪かったか?」


「お前ならいくらで売る?」


自分で値をつけろってか。


オッサン用のと違って普通の作りだけど・・・


「やっぱり銀貨3枚かな?」


「・・・・いや、銀貨5枚で置く。売れたら銀貨2枚渡すから取りに来い。」


親父は少し考えてからそう言う。


「いい出来だったからな。もう俺が教えることはあまりなさそうだ。」


予想以上の高評価だった。


「レイの坊主・・・お前そろそろギルド登録できるんだろ?」


「あぁ、ただ、冒険者になったらゆっくりできないかもしれないから、ある程度、鍛冶を極めてからと思ってる。」


「バァーカ。この道に終わりはない、極めるなんて一生かかってもムリだ。」


「そうかもしれないけど・・・」


「今日のはいい出来だった。冒険者になったら旅立つ前に顔出せや。餞別をくれてやる。」


どうやら、俺の腕は親父に認められたらしい。


「あぁ、必ず寄らせてもらうよ。」



武器屋を後にした俺は、ミリィたちと待ち合せている店に向かった。


冒険者ギルドに併設されている店だ、夜は酒場兼食堂に代わるが、夕方の今ぐらいの時間は、建物の外のスペースも利用したオープンカフェみたいになっている。


「にぃに~、こっちっすよ~。」


俺を見つけたリィズが声をかけてくる。

まだ結構距離があるのに、よく見つけられるもんだ。


「お待たせ。」


二人に声をかけ、席に座る。


「待ってませんよ~、それよりレイさんも食べてくださいな。」


二人の目の前には様々な果実を盛り合わせたものが置かれている。しかも結構な量だ。


「どうしたんだ、コレ?」


「ん~、いつもの?っすよ。」


リィズが少し困ったように教えてくれる。


「あぁ『いつもの』ね・・・。」



それだけでわかってしまうぐらい、よくある光景だった。

ミリィははっきり言って可愛い。その上性格も穏やかで優しい。そして意外と世話好きだ。すると、当然狙ってる男たちも山ほどいる。


この世界は多夫多妻に関しての禁忌がない。

貴族王族ともなれば10人以上の夫や妻がいるというのも珍しくない。


はるか遠くの砂漠の国では、王族それぞれが後宮に30人以上の妻や愛妾を囲っているというし、東の方にある国の女王は城内に働く上級役職者全員が夫という事もあると聞く。

平民でも2~3人の妻がいるのはそれほど珍しくない。要は甲斐性さえあればいいという事だ。

ただ、妻が多くの夫を囲うという事はほとんどなく、平民階級ではゼロに等しい。


つまり・・・男は結構余ることが多いので必死だという事である。


この目の前の果実の盛り合わせも、そんな男たちの必死のアピールなのだが・・・


「レイさん食べないんですか?おいしいですよ、ハイ、あーん…」


本人が気づいてないというのが問題というか、哀れというか…。


目の前に差し出された果物を咥えると、周りからの殺気が増大した気がする。


「わかってて煽るにぃにも如何なもんかと思うっすよ・・・。にぃに、こっちもあーん・・・」


少しあきれたように言いながら、リィズも差し出してくる。


「もぐもぐ…、そうは言うがな、もぐもぐ・・・・」


あの視線の半分はお前目当てだぞ、とリィズに教えてやる。


リィズもやや幼さの残る顔立ちながら、十分美少女と言って差し支えない部類に入る。

胸元は将来性に期待といったところだろうが、向こうの世界なら「自称紳士」たちが列を作ってもてなすこと間違いなしだ。


「そんなことありえないっすよ。ワタシなんか、ねぇねに比べると胸もないし背も低いし、いいところなしっすよ。」


「いや、そうでもないぞ、それがいいという奴らもいるし…」


俺の言葉にうんうんとうなずく気配がたくさんした…こっちの世界でも業の深い奴らは健在だ…。


「そういうもんすかねぇ?まぁ、ワタシはにぃにとねぇねだけいればそれでいいっすよ。」


「私もリィズが大好きよ。はい、あーん・・・。」


ミリィがニコニコしながらリィズに果実を差し出す。


「あーン…もぐもぐ…、ねぇね、これ凄く美味しい!」


「ねぇねにもあーん・・・」


目の前で、百合百合しい光景が展開される。

美少女同士のイチャイチャは実に微笑ましいと思ってしまうあたり、俺も業が深いのかもしれない。


まぁ、後ろの方で悶絶して倒れている奴らよりはマシだと思いたい…。


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