「・・・にぃに、にぃにってば。」
「あ、ごめん。なんだった?」
「何だった?じゃないっすよ。さっきからねぇねも呼んでたんすよ。」
そういわれて、ミリィの方を見る。
「ううん、別に用があるわけじゃないけど・・・なんかぼーっとしてたからどうしたのかなって。」
「そういえば、にぃに、あんまり寝てないんだっけ?大丈夫っすか?」
残り食べるっすか?と果実をフォークに刺して差し出してくる。
「ありがと。んぐ…。別に大したことじゃないよ。そろそろギルド登録しなきゃなって。」
「え、にぃにまだ登録してなかったんすか?」
「まだっていうけど、多少前倒し出来るものの、基本成人してからじゃないと登録不可だから仕方がないだろ。」
「え、そうなんすか?・・・ふふん、にぃに、これなぁーんだ?」
リィズがニヤリと笑ってカードを取り出し見せてくる。
…シルバーベースに青色のライン。反射具合で何かの刻印が見える。
「・・・ま、まさかそれは・・・。」
「そうでーっす。これが冒険者カードでぇ~す。」
・・・ムカつく笑顔だ。
「ふふん、崇め奉ってよいっすよ~。むぐっ。」
ムカついたので、目の前にあった最後の果実を押し込んでやった。
「むぐっ、ゴクン。」
「でも、リィズなんでギルドカードもってるの?」
ミリィが聞く。
「そうだ、なぜ持ってる?偽造か?偽造なんだな!」
「ぶぅー、にぃに人聞き悪いっす。それにギルドカードは偽造できないっすよ。」
じゃぁ、なんで…と聞くと…。
「隣のリンガード共和国では7歳になると各ギルドへの仮登録が可能になるんす。」
仮登録後、一定の実績を上げれば本登録として正式にカードが発行されるらしい。
「冒険者はどの国で発行されたカードでも正式な効力があるっす。」
・・・なんてことだ。じゃぁ、この年まで待たなくても隣の国で登録すればよかったんじゃないか。
「まぁ、国を跨ぐと色々手続きとかめんどくさいっすけどねー」
変更登録しないといけないっす・・・とリィズが言う。
「じゃぁ、これからギルドに行きましょうか?」
ミリィが、そう提案してくる。
「リィズも手続きあるんだよね?私も登録しようと思ってたからちょうどいいんじゃない?」
「登録って、ミリィも冒険者になるのか?」
「えぇ、だって、レイさんについていくなら必要でしょ?」
・・・当然のように言うミリィ。
・・・・・・顔がほてってくる。…何悩んでたんだか。笑いがこみあげてくる。
「そうだな。じゃぁ、ギルドに行くか。」
ギルドの中は喧騒に包まれていた。
「なんか、騒がしいな…いつもこんなもんか?」
「納品に来た時は、そうでもなかったんですけど…何かあったんでしょうか?」
・・・しばらく待っていると受付のお姉さんがやってくる。
「お待たせいたしました。当ギルドへの御用を承ります。・・・あら?ミリィちゃんどうしたの?」
「あ、お姉さん。今日は私とレイさんの冒険者登録とリィズの国際変更手続きをお願いしたくて。」
「あらぁ、ミリィちゃん、もうそんな年なのねぇ。はぁ…急に年とった気分よ。」
「あ、あのぉ、おねぇさん?」
「あぁ、ごめんねぇ。じゃぁ、まずリィズちゃんギルドカード出して。」
リィズが言われるままにカードを提示する。
「えっと、リンガード共和国で発行正式登録済…実績ポイント処理済。変更箇所をこうし
て・・・。はい、これで大丈夫よ。」
頑張ってるわね。と言いながらリィズにカードを返す。
「今度はレイフォード君とミリィちゃんの登録ね。」
ちょっと待っててね…と言って奥でゴソゴソし出す。
「あった、あった。レイフォード君からでいいかな?・・・じゃぁ、この水晶に右手を置いて、左手をこのカードの上にかざして、右手から左手に魔力を流すイメージで…そうそう。上手ね・・・。うん、もういいわよ。」
俺が手を離すと、お姉さんはカードを手に取る。
「じゃぁ、ミリィちゃんも同じようにね。」
「はい、・・・こうですね。」
ミリィの右手の水晶が光り、左手にボゥっと光が動いていくように見える。
「はい、いいわよ。」
ミリィのカードも回収される。
「えっと、おねぇさん。今は何をやっているんでしょう?」
「今はねぇ『資質』を測っているのよ。水晶を通してその人の内なる資質をカードの転写しているの。冒険者として最低限の資質がないと登録できないからね。」
しばらくすると、俺とミリィのカードが光り…やがて収束する。
「はい、大丈夫みたいね…へぇ…これはこれは…。」
ガードを見てお姉さんが微笑む。
「はい、これがあなた方のカードよ。なくさないようにね。」
カードが手渡される。…これで俺も冒険者か。
「えーとね、一応ギルドでは、各個人の資質を見たうえで助言することが出来るのだけど・・・聞きたい?」
「何を助言してくれるんですか?」
「そうねぇ、例えば知力や魔力量の高い資質を示した人には魔法使いが向いてるよとか、力の強い人には戦士がいいよとか…。後、特殊な力が出ていた場合はそのことを教えてあげたり…ね。」
お姉さんが意味ありげに俺の方を見る。
「…まぁ、一応聞くだけなら。」
「そうですね、聞かせてほしいです。」
「わかったわ。でもその前に一応ギルドカードとギルドの事を説明するわね。」
説明責任があるのよと、苦笑する。
「まずギルドカードですが、個人の身元証明にもなるのでなくさないでくださいね。特殊な魔力が掛けてあるので、他人には使えませんし偽造もできません。もしどこかで他人のカードを見つけたら、速やかに最寄りのギルドへ届けてくださいね。」
「次に冒険者のランクについてです。カードに色のついたラインがあるでしょ。その色がランクを表しています。下から順番に「青」「緑」「黄」「赤」「紫」「銀」「金」「白金」と上がっていきます。また「青」がDランク、「緑」と「黄」がCランク、「赤」と「紫」がBランク、「銀」がAランク、「金」がSランク、「白金」がSSランクとも呼ばれます。」
「あのぉ…私たちのライン黒なんですけど?」
「黒は「見習い」よ。最初に登録した人はみんな「黒」だから安心してね。何か依頼を達成すれば「青」に代わるわ。そうなって初めて正式な『冒険者』として認められるわ。」
あとは…とお姉さんは少し考えて…
「そうそう、右上の『Lv』って文字見えるかしら?それが『冒険者Lv』よ。実績に応じてポイントがたまり、上がっていくわ。ランクにも関わってくるから、一応覚えておいてね。」
・・・なるほど。リィズのカードを見せてもらうと「Lv5」となっていた。緑ランクになるのも近いそうだ。
「次は称号関連ね。冒険者として起こした行動によって獲得出来るわ。有名なのだとドラゴンを倒した者に贈られる『ドラゴンスレイヤー』とかね。・・・ちなみに二人にもすでについているわね。」
言われてカードを見てみると「盗賊の天敵」と書いてある。
ミリィのカードを見せてもらうと「精霊の愛娘」の文字が見えた。
「にぃにも、ねぇねもいいっすねぇ。ワタシには何もないっすよ。」
「リィズには『ミリィの家族』って称号があるわ。」
「ねぇね、それ称号じゃない…。」
ミリィの家族って…俺は除け者かぃ。
「称号がついていると何か良い事あるんですか?」
お姉さんに聞いてみる。
「う~ん、特にないわね。稀に特殊な能力が付加されたり資質に影響がある特別な称号もあるらしいけど・・・。基本的には単なる勲章みたいなものね。あ、場合によってお店で割引があるかも?」
「そうなんですね。」
「あと称号関連で、『二つ名』には気を付けてね。」
「『二つ名』…って何ですか?」
「称号の一種なんだけどねぇ…うーんと・・・あ、レイフォード君のカードにうっすらと出てるの見えるかな?」
言われて、よく見てみれば・・・
『地獄の水先案内人』『氷の処刑人』『爆裂の拷問者』『残虐天使』『災厄の暴風雨』『爆炎の断罪者』
等の称号がうっすらと見える。
「レイさんのカードには確かに何か見えますね。・・・他のは良く判りませんが『爆炎の断罪者』という文字はちょっとはっきりしてますね。」
「それが『二つ名』です。『二つ名』はその人の行動によって獲得するんじゃなくて、行動を見た『他人』がつけるのよ。」
いわゆる通り名ね、とお姉さんは言う。
「その通り名が世間に認知されればされるほど、カードに表示される文字が濃くなっていくの。くっきりはっきりしたら確定されるわ。」
確定されたら、正式に認定されるという。
「気をつけなきゃいけないのはね、正式認定された『二つ名』は他の人が名乗っちゃいけないのよ。もし勝手に名乗ったりすると詐称の罪に問われるわ。」
場合によっては死罪になることもあるという。
「いや、死罪は行き過ぎじゃぁ?」
「レイフォード君、本当にそう思う?」
「まぁ、人が勝手につけた名前だし、それを名乗ったからって・・・。」
「レイフォード君、甘いわ。『二つ名』はね。確定したらその人そのものとして扱われるのよ。例えば、その『残虐天使』がレイフォード君の『二つ名』として確定したとするわね。」
うん、それで…と頷く。
「世間の人は『残虐天使』=レイフォード君と認識するのよ。ここでね、え~と…あ、アイツでいいや。あそこでジョッキ片手に騒いでるヤツいるでしょ?」
指された方を見ると確かに言う通りの人がいた…お姉さん意外と口悪いっすねッとリィズがつぶやいていた。
「例えばアイツが覗きをやったとするでしょ。で見つかって「俺は『残虐天使』だぞ!」っていうわけよ。するとどうなると思う?」
…どうなるんだろう?
「残虐天使=レイフォード君が覗きをやって捕まったって噂が流れるのよ。で、ある街にレイフォード君が行くと・・・レイフォード?あぁ、残虐天使ね、覗きで捕まった、あの…。って言われるようになるわけ。」
「ウン、死罪決定!」
「・・・・にぃに…。」
リィズが呆れたようにこちらを見てくる。
いや、仕方がないだろ。
「確定された『二つ名』はギルドでわかるから、知りたかったら聞いてね。」
「どんなのがあるんですか?」
ミリィが興味深そうに尋ねる。
「そうねぇー・・・。最近では聖女様の二つ名かな?東の聖女様知ってる?」
・・・うわさで聞いたことはあると答える。
「その聖女『ナミ』様の二つ名は…『慈愛の聖女』ですね。『慈愛の聖女:ナミ様』どのような方かしらね?」
「そうですね、機会があればお会いしたいですねぇ」
「あぁっ!」
突然リィズが叫ぶ。
「どうした、急に大声出して?」
「…これ見てください」
そういって、リィズは自分のカードを見せてくる。
…よく見てみると『ミリィの家族』という文字がうっすらと浮かび上がってくる。
「・・・。」
俺はリィズにカードを返すと、黙って「ぽんっ」と肩をたたく。
・・・がんばれ!
「そういうわけだから、二つ名の扱いはくれぐれも気を付けてくださいね。」
カードについてはそれくらいですね・・・と言って説明を続けてくれる。
「ギルドについてですね。ギルドでは『依頼の斡旋』『依頼の受注・完了受付』『報酬の支払い・素材買取』『パーティの斡旋』などを取り扱っています。」
後はギルド口座を開設すれば各地のギルドでお金を出し入れ出来るというのでお願いしておいた。
「あ、そうそう『依頼』についてですが、『依頼』には、ギルドで受注する『一般依頼』、特定の個人もしくはパーティ宛に来る『指名依頼』、断ることが出来ない『強制依頼』、それら以外の『特殊依頼』があります。急を要する『緊急依頼』も『特殊依頼』の一種ですね。」
基本説明はこれで終了ですが…と言って声を潜めるお姉さん。
「お二人の資質の件ですが、かなり特殊ですのであまり周りに知られない方がいいかもしれません。」
と言って、場所を変えることを提案してくる。
俺たちはお姉さんについて、奥の部屋へと移動した。
「では改めまして、資質についてお話させていただきますね。」
そうですねー・・・と少し思案した後
「一般的な例として、リィズさんの事からお話ししましょうか。リィズさんの資質としては身軽さ、器用さに加えて、感知能力、回避能力に高い資質が見られます。これらの事からリィズさんはナイフや小剣等の取り回しのしやすい武器を持って、回避しながら隙をつくスタイルの軽戦士系が向いていると思われます。また、ダンジョンなどでは斥候役として、囮役として、また罠の解除や宝箱をあけたりする能力を伸ばしていくのがいいでしょう。」
「・・・というのがリィズさんの資質であり、私たちが説明できることなんですが・・・。」
「俺たちは普通じゃない…って事ですか?」
「普通じゃないというより、説明しづらいです。」
わからないと言った方が正しいかもしれませんね、とお姉さんが困った顔をした。
「まずミリィさんですが感知能力がずば抜けて高いです。パーティ内では一早く敵を察知する斥候役が向いていると言えるでしょう。」
……ここまでならいいのですがと続ける。
「魔力に関して揺らぎが見えます。資質が高いというのはわかるのですが『質』が見えないのです。どの方向性の魔法に向いているのかとか、適性のある属性は何かとか・・・加えて「精霊の愛娘」という称号。」
……ここからは私の推測ですが、と断りが入る。
「ミリィさんはかなり高位の精霊使いではないでしょうか?通常の精霊使いですと契約できる精霊に制限がありますが、ミリィさんの場合、制約なく上位精霊とも契約できると思われます。」
まるで伝説の精霊王みたいですと・・・。
「レイフォードさんですが・・・ミリィさん以上に訳が分からないです。」
はぁ…と大きなため息をつかれる。
「レイフォードさんの場合、多少の揺らぎがあるものの、すべてにおいて高い資質を示しています。現段階で、Aクラスの冒険者と遜色のないですね。また、魔力に関してですが、まったく底が見えません。通常、魔力には属性がありその人の『質』によって向き不向きがあるのが普通です。例えば、火と水の属性はそれぞれ相反するので、火の属性がある人は水の属性が苦手とか。しかし、レイフォードさんに関してはすべての属性に対し適性があり、またその質に関してはどれくらいのものかが測りきれません。通常こんなことは『ありえない』です。」
実際そうなのだから・・・としか答えようがないな。
「ただ・・・公にしていないのですが、レイフォードさんと同じく全属性に適性があり質に関して底が見えないという方はいます…。」
聖女:ナミ様です・・・とつぶやいたように聞こえた。
「とにかく、そういうことです。この件は公には致しませんからご安心くださいね。」
ありがとうございますと答えておく。
・・・にぃにもねぇねも凄いんですねぇ・・・とリィズが呟いているが、わかってないだろうなぁと思う。
「話は変わりますが、依頼を一つ受けていただけませんか?」
説明も終わり一息ついたところでお姉さんが依頼の要請をしてきた。…これは『特殊依頼』ってヤツかな?
本来ならば見習いに回す依頼じゃないんですが・・・と前置きをされる。
「最近『恵みの森』付近に本来いないはずのモンスターが湧いているってお話はご存じでしょうか?」
「・・・ひょっとしてリビング・アーマーか?」
「ご存じでしたか。さすがですねぇ。」
だったら話は早いですねと続ける…ご存じも何も、昨日聞いたばっかりだけどね。
「先日から討伐依頼を出しているのですが、中々討伐されずに困っていたところ、本日お昼前位に・・・その・・・勇者様が退治に行くって言って・・・止めたんですよ。そりゃぁもう必死に。ギルド長まで出てきての大騒動だったのですが・・・。」
なるほど、さっきの騒がしさはその名残だったのか。
「それで、レイフォードさん達への依頼というのは『恵みの森まで行って勇者様の様子を見てきて欲しい』です。」
「普通ならこんな依頼が出ることの方がおかしいのですが・・・あの勇者様の事ですし、何かあると問題にもなります。」
あの勇者様ですから…と心底困ったように言う。
「見てきて報告頂けるだけでいいんです。別にリビングアーマーと戦えなんて言いません。」
…倒してくれてもいいですけどと小さく言うのが聞こえた。…それが本音だろ?
「ただ、もし、勇者様が戦闘に入っていてピンチなのであれば・・・。」
逃げれるように手助けしてほしいとの事だった。
ちょっと相談させてくれと、お姉さんに言い席を外してもらう。
「・・・という事だがどうする?」
「そうですねぇ。」
「本音を言えば勇者(笑)の事は放っておきたいんだが・・・。」
「・・・レイさん、そんなこと言っちゃダメですよ。」
「そうっすね。にぃにの意見に全面的に賛成っす。」
「じゃぁ、断るか。」
「レイさん…断ると、おねぇさん困りませんか?」
「困るかもなぁ。」
「にぃに、お姉さんの為にも受けないっすか?・・・もし断ったら、今度からプリンくれなくなるかもしれないっす。」
「餌付けされてんじゃねぇか。…まぁいいか。行って帰ってくるだけで銀貨2枚なら破格の報酬だしな。」
俺が受けるかというと、リィズが黙り込む。何かを考えているようだ…。
やがて、にぃに…と口を開く。
「にぃに。お姉さんとの交渉は私がするっす。」
「なんでまた・・・」
「にぃには今日冒険者になったばかりの見習いっす。ギルド側に都合よく使われない為にもセンパイのワタシが交渉のお手本を見せるっす。」
おぉ!なんかリィズが頼もしい!
言い方はアレだが、リィズの言い分の方が正しい。
「リィズ…すごいわ。」
よしよししてあげるね・・・とリィズの頭をなでるミリィ。
「確かに、リィズの言うとおりだ。よし、任せるからお手本を見せてくれ!」
「任されたっす!じゃぁお姉さん呼ぶっす。」
「じゃぁ、依頼受けてくれるのね。」
「その前に条件の確認っす。
依頼内容は・・・
・恵みの森へ行き勇者の様子を見て状況を報告しに戻ってくる。
・勇者が戦闘していた場合、且つ、負けそうな場合逃げるのを手伝う。
報酬は・・・どのような状況にもかかわらず銀貨2枚。
・・・ってことで間違いないっすかね?」
「えぇ、間違いないわ。」
「一つ確認っす。もし勇者様がいなかった場合はどうなるっすか?例えばすでに退治して帰った後とか、途中で止めて帰ってしまったとか・・・。」
「そうね・・・その場合一応現状確認・・・リビングアーマーは退治されているのかいないのか?・・・の情報を添えて報告してもらえればいいわ。」
・・・流石だ、よく手馴れてるな。これはリィズに任せて正解だった。
「最後にもう一つっす。」
「何かしら?」
「報酬の件っす。基本提示通りでいいっすが、戦闘が起きた場合、銀貨2枚じゃ割に合わないっす。」
「でも何もなければ、行って帰ってくるだけで銀貨2枚よ?破格だと思うのだけれど?」
「それを踏まえてもっす。戦闘になれば命がけっす。ワタシの命そんなに安っぽくないっすよ。」
・・・お姉さんとリィズが睨み合う。
すげぇ、リィズすげぇ…マジ尊敬。命、安っぽくないってセリフ格好いいぜ。感動だわ。
リィズとお姉さんの無言の戦い…しばらく睨み合ってたが、やがてお姉さんが、ふぅ…と力を抜く。
「フッ。いいわ、リィズちゃんの要求をのみましょう。戦闘が発生した場合追加報酬あり。これでいいわね。」
「OKっす!追加報酬は…。」
「にぃに、やったっす。追加報酬ももぎ取ったっす。」
ほめてほめて―とリィズがやってくる。
「あぁ、見てたが凄いな。格好よかったぞ!」
「リィズ、頑張ったねぇー」
なでなで・・・
「それで結局どうなったんだ?」
「最初の条件に加え、戦闘が発生した場合、追加報酬がもらえるっす。」
「おぉー、それで?」
「追加報酬はなんと・・・・・。」
ためるなぁ…まぁノリノリだし付き合ってやろう。
「デラックスプリン3個です!」
「おぉー!やったぁー!!・・・ってなんでやねん!」
・・・思わず関西弁でツッコんでしまった。ハリセンがないのが悔やまれる。
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