「ッてな訳で、これから部屋に籠もるから!そーゆー事でヨロシク!お兄ちゃん!」
「お前なぁ………………今の時期一番キツいんだぞ?“お国”の連中からも馬鹿みたいに依頼が来てるし兄貴も出てこないしで…………………お前後で覚えてろよ?」
「んふふ、怖いなーお兄ちゃんは!後でちゃんと手伝うからさ!」
「マジでちゃんとやれよ?俺これから出てくるからさ」
「ほいほーい、いってらっしゃーい!」
都内某所の、和風屋敷。
そこに住むは、古来より続く忍一族の末裔達。
彼女の名は、風間小町。
風魔一家の薬学担当にして、忍が古来より用いる、超常の如き力を意のままに操る術、忍術を科学で解明して運用する天才。
──────そう、彼らは忍者なのだ。
………………だから、目の前でぶっ飛んだことが起こったところで、彼らは動じない。何故なら、それが日常だから!
……………………例え目の前で兄の身長が縮んだとしても!
……………………………例え兄の体つきが女性のソレになったとしても!
……………………………………例え兄の髪がいきなり長くなったとしても!
……………………………………………例え兄が女性のような顔つきに成っていたとしても!
………………………………………………………例え、兄の胸が急速に膨らんでいたとしてもッッッッ!日常だから!日常茶飯事だから!むしろ、そうであってほしい!そうじゃなきゃ耐えられない!
「行ってきまーす」
兄が女性の声で右足を後ろ側に回し、少し力を入れたかと思うと、そのまま真上へスッ飛んでった。
彼女は、もうあの兄何でもアリだなとか考えながら自室に戻り、机の上に置いてあったヘルメット型の器具を手に取った。
それは女子の部屋には似つかわしくないほどにゴツゴツとしており、黒と白のコントラストが、思わず『美しい』とまで思ってしまう程のソレを、彼女は被った。
あごの部分のロックパーツをつけ、目元のバイザーを下ろす。
ヘルメットに付いていたコンセントを差し込み、有線ネットのケーブルを、机の下にあった黒い箱に接続する。
「さーてと、いよいよだねぇ……」
そう言った彼女は、机の上にある資料を撫でる。
そこには、Miraclas Dream Universe 調査結果と書かれた紙束が置いてあった。
「お兄ちゃんは心配するだろうけど………まあ、何とかなるっしょ!」
彼女は、時計を見ると、黒い箱についていた電源ボタンを押し、クルリと方向転換。
彼女はベッドに横になった。
─────その時、机の上に置いてあった資料の内の一枚が床に落ちた。
そこに書いてあった物は───────
Miraclas Dream Universe メインシステム
Nornil オペレーションD─────────────────────《Death Game Mode》について
「んじゃ、始めますか!」
彼女は、ギアのマフラー部分のスライドスイッチを押す。すると、ヘッドギアの青いランプと緑のランプが点灯し、もう一つの緑色のランプが点滅した。
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