Miraclas Dream Universe

The story of boys trapped in the "dream world"
星野優季
星野優季

プロローグ–夢の世界はここから始まる The girl loves The boy was loved–

公開日時: 2021年3月7日(日) 12:14
文字数:3,574

「これで大丈夫だよね?ちゃんと繋がるよね?」

「だいじょぶだって!ちゃんと初期設定も完了、ネットワークもスピードチェックして動作環境もばっちりどころか5G超えるようなレベルの通信速度だし、だいじょぶだって!」


オレの名前は星海春樹。中学2年生の14才。

今、オレは自分の家のとなりに住んでいる幼なじみの女の子、天ノ河春香の家に来ている。

何故かって?それは、彼女が「夏休み、何する予定なの?」と聞かれて、「新しく発売されるD2MMOのタイトルが手に入ったから、それをやる」と答えたら、「なら私もやりたい!」と、MMOをやったことのない彼女が言い出したからだ。


「じゃあ早く始めよっ!早く、早く、早く、早く!」

「だーっ、まだサービス始まってないっつの!そんなに言ってたってまだ始まらないわ!」

「じゃあ始まるまでハル君と一緒にいよーっと」


春香が抱きついてきた。

ムニュッ。

………………口では表しがたい柔らかい物が、オレの腕に当たる。


「なっ、ちょ、く、くっつくな!」

「えへへ、いーじゃーん♪」


彼女は、オレの耳元に囁いてくる。それも甘ったるい声で。


彼女は、俗に言う美少女で、この年にしては不似合いなほどに大きい。どこがとは言わない。


「そ、それにこっちだって“ダイバーギア”家に置いてきたんだよ!まだ設定終わってないし、やらなきゃいけないことだって──────」

「あらあら、お熱いわねぇ、羨ましいわ!」

「春樹くん、ご両親から“コレ”を受け取っているんだけど」


そう言いながらニヤニヤ顔で入ってきたのは、彼女のご両親である。やけにタイミングと息が良いな…………………


「あ、どうもお邪魔してます…………」


そう言いながらなんか巨大な箱を受け取る。そして、その箱を開けると──────


中には手紙と、黒い色で、タワー型のデスクトップパソコンを彷彿とさせる見た目の箱型の機械と、バイクのヘルメットのような形状の機械、そし、ダイブに必要な端末ことReve:Diver Gear─────通称ダイバーギア本体と大脳接続用デバイス、そしてD2MMORPG─────|Miraculous Dream Universe《ミラキュラスドリームユニヴァース》のパッケージとゲームカードが入っていた。


この|Miraculous Dream Universe《ミラキュラスドリームユニヴァース》は、以前に開発されたフルダイブ型のVRMMOとは、考え方が全く違う。

このゲームが世界的に有名になった理由。それは、|意《・》|図《・》|的《・》|に《・》|特《・》|定《・》|の《・》|夢《・》|を《・》|見《・》|さ《・》|せ《・》|る《・》と言うところにある。

明晰夢、という言葉をご存じだろうか。

明晰夢とは、睡眠中に見る夢のうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことである。明晰夢の経験者は、夢の状況を自分の思い通りに変化させられると語っている。

これは、その理論を応用した物で、深層意識を刺激することで、自身が操作できる、特定の夢を見させることが可能である、と言うものである。

ちなみに、D2MMORPGとは、夢に入るタイプのMMORPG───つまり、

|Dream Diving《深層意識接続式》 |Massively Multiplayer Online《大規模同時参加型》 |Role-Playing Game《ロールプレイングゲーム》の略。

このゲームのお披露目は、瞬く間に世界中へ広がり、各国のテレビ局が特番を組んだりしたものだ。

そして、そのあとすぐ、このゲームのベータテストが公表された。

テスターにはデバイスが貸し出され、一足早くその世界に入ることが出来るという物だ。募集テスターは約一万人。

当然、オレも応募した。が、開始三十秒で既に一億人近くの人間が応募していた。そのとき、一斉に億単位の人間がサイトにアクセスしたのにサーバーが落ちなかったことも、世間を驚かせた。

オレも正直「これは無理だろう」なんて諦めていたんだ。………が、なんとオレはそのベータテストに当選したのだ。後から知り合いに聞いた話だが、このベータテストの応募倍率は、天文学的数字になっていたらしい。この時オレは、自身の一生分の運を使い果たしたと感じた。


「?────これは…………………」


オレは中に入っていた手紙を取り出し、声に出して読み上げた。いや、読み上げてしまった。


「えと、なになに…………

『春樹へ

コレを送っておきます。設定終わってないんでしょ?何だったらこのまま今日はそちらにお世話になってきなさい。そちらのご両親の許可は取ってあるし。あと春香ちゃん、何なら既成事実も作っちゃって良いのよ?頑張ってね、お二人さん♪

              星海夫妻

追記:“お薬”三種類も入れときます。春香ちゃん、うまく使って下さい』」


封筒の中を見ると、なんか使い方の貼ってある高圧ガス式注射器(ご丁寧に『意識と感覚を残したまま相手の体を動かせなくする麻痺薬』)と──────魔法陣っぽい物が書かれたファンタジー感溢れる青いガラス小瓶二本(こちらもご丁寧に『特殊調合薬品 催淫薬 媚薬 ※取り扱い注意!※』とかふざけたことが書いてある)に液体が入ってた。


……………………………………………………………………………………………。






「あんのクソ親父共がああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」



ビリビリビリィッッッッ!

二人から送りつけられた|手紙《紙ゴミとも呼べないクズ》を封筒ごとぶち破り、近くにあったゴミ箱にぶち込んで、とりあえずブチ切れた。あのクソ親父共!一々こんなふざけたこと言わねぇと気が済まんのか!?

あの野郎後でぶちのめしたるわ!!

つかあの手紙の文面何なん!?狙ってんの!?予想してたの!?ざっけんなよファ〇クッッ!!


「とゆうわけで、あとはお二人さん、ごゆっくりー」

「頑張ってね、春樹くん♪」

「え、んな、ちょ、待


バタン!

大きく感じた音と共に扉は閉められた。


そう。勘の良い読者様なら分かるであろう。オレたち二人は、公認のカップル扱いを受けているのだ。

クソ親父曰く、「昔っから仲が良く、相性としてもバッチリ」らしい。

うちのゴミお袋ですら、「春香ちゃんだけじゃなく、あと二人も引っかけるなんて、罪な男ね♪ウチとしては、ハーレムも大歓迎だけど♪」とかほざく始末。こっちとしてはそんなつもりなど更々ないのだが。てかあの二人って誰だよクソッタレ!(注:フラグ」立った理由はまだ話しておりませんが、本作の主人公はかなり鈍感です。)


「じゃあ、お義父さん達のの許可も出たし、ここで既成事実でも作っちゃおっか?」


そう言った彼女は、よく見るとかなり薄いネグリジェの肩紐をずらし、ベッドの上にオレを押し倒す。ちよ、見えてる見えてる!どこがとは言わんが!


「いやいや何が“じゃあ”なんだよ!てか、こっちもまだ色々終わってないんだよ!頼むから止めてくれ!あとあのクソ親父はお前のお義父さんじやねえ!」

「ちぇ、つまんないのー」


気づいたら馬乗りされていたオレの上から降りた。怖えー。


「あのなあ………」


そう言いながらも、“ダイバーギア”のいろいろな初期設定を済ませ、黒い箱から出ている三本あるケーブルの内、一本をコンセントへ、もう一本はネットワークの端子、もう一本は、ヘルメット型のデバイスに接続する。

春香もそれを見ていたのか、空いているコンセントへプラグを指し、もう二本のケーブルも同じように接続する。


そして、首の部分のマフラーのような部分に付いているスライドスイッチを押す。すると、こちらから見えない、顔の正面から右上のあたりにある緑色の電源ランプが点灯する。続いて、ネットワーク接続を行っていることを表す青色のランプが明滅を開示する。そして、この端末の目玉たる機能を使用するために必要な大脳接続を示す緑色のインジケータランプが点灯した。すると、バイザーの右上に現在時刻を表すデジタル時計が、左上に充電中であることを示すバッテリーマークが映り、正面に


Power supply:ON


network:Connection


Cerebral connection monitor:normal


そう表示された。

続けて、

welcome to Reve:Diver Gear!!


Installed Game card:Miraculous Dream Universe launcher


と書かれる。


コレで準備は全て完了した。あとは────


「いよいよだねっ!」

「ああ!」


右上の時計を見る。

現在の時刻は────────────13:59。

そして、今。



14:00。


それが見えたとき、恐らく、世界中のユーザーが、この言葉を唱えただろう。


彼らも、その1人。


夢の世界への扉は、


「行こう!」

「ああ!」


今、


「「「「「「「リンクオン・ダイブ!!」」」」」」」


開かれた。

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