「そんじゃ星河、私先に上がるから。アンタ今日宿直でしょ?」
「オイコラてめぇざけてんのか?まだ12時だろうが!いくら何でも早すぎんだろ!!」
「今日は約束してんのよ。ちゃんと局長の許可も取ってるし大丈夫でしょ」
「あの局長ザルなの?何なの?まだ事件の後片付け沢山残ってんだよ?てか見せてみろよこの事件前後のゴタゴタの中でそんな馬鹿な真似をする局長ではないと考えたいよマジでぶっ飛べあのクソ局長!!」
ここは、東京都内某所に存在する警察庁の公安局ビル。
公安局は、平成初頭に警察が解体され、新たなシステムを加えて再構成された警察組織である。
「はい、コレ。これが許可証ね」
そう言った彼女──────宮野葵は、腕時計のような端末のボタンを押し、一つのウィンドウを出現させた。
「とりあえず異議申し立てしよう。まず始めにアレの存在意義否定しなきゃ」
「何恐ろしいこと言ってんの。……………………止めなさいよ?アンタならやりかねないし」
「失敬な。冗談だ。……………………………………………多分」
「オイコラ否定し切れよそこは」
2人ともどういう訳か現在14才であり、小さい頃に公安局に知らぬ間に入れられ、さらに最近は事件まみれの公安局である。彼────────星河柚優木もストレスがたまっている。
「つか何しに行くんだよ。いつものお前なら面倒くさいとか理由付けてばっくれそうなものなのに」
「うぐっ。ん、んな訳ないでしょ。それがね────手に入ったのよ、MDUが。」
「─────────は?」
「だから、手に入ったのよ、MDU」
「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?手に入った!?あの?絶対当たらないって有名だったMDU?応募倍率天文学的なんだぞ!?ふざけてんの!?」
「ほんとだって!それに私の家に居候してる子の分も買えたから、いっしょにやろうって話になったのよ」
「お前リアルラックぶっ飛んでんだろ……………こちとら全国一斉検挙巡りで応募すら出来なかったんだぞ?」
「ふっふっふー、そういう訳だから、じゃーねー」
うぃーん。と、刑事一課の入り口の自動ドアが閉まる。
彼は、その場に、立ち尽くす。
「……………………あの野郎、後で覚えてろよ…………!」
一人になった刑事一課のオフィスルームで、彼は1人呟いた。
都内某所
「てな訳で、セットアップ完了!綺羅羅、被ってみて」
「ん。…………………だいじょうぶ。」
都内某所に存在するとあるマンションの一角で、異世界より来訪した二人の少女は、ダイバーギアのセットアップを行っていた。
「にしても、エースも大変よね。勇者探しなんてしなきゃいけないんだし」
「なら、わたしたちも、てつだう?」
「また今度ね!今日は久しぶりのお休みなんだから。目いっぱい遊ぶわよ!」
「ん。」
公安局から帰ってきてジャージに着替えた葵と中学校から帰ってきてパジャマに着替えた少女─────天ノ華綺羅羅は、ダイバーギアを被っていた。
初期設定はとうに済ませており、あとは起動コマンドを唱えるだけだ。
「13:59。さあキララ。準備は良い?」
「ん。」
運命の時は、動き出す。
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