「そういえばさ」
今日はいつもと逆に、ボクとバーシがククの机に集まって、休み時間に雑談。もちろん、シャロンも一緒。
「二人のお父さんお母さんって、お仕事何やってるの?」
うちが食堂、バーシが服屋さんなことは、こないだ話したのだけど、そういえば、二人のほうは訊いていなかった。
「あー。うち、親父は会社員。かーちゃんは専業主婦」
「うちはパパが市役所の職員で、ママが小学校の先生っすね」
へー。というか、シャロンのお母さんの職業が意外。
「シャロンは、やっぱり、お母さんのいる学校に通ったの?」
「いや。むしろ親子だと、ベンギを図っちゃう可能性があるってんで、ママは、うちの入学と入れ替わりに、学校変わったっす」
なるほどねえ。
「学校の先生って、何時ぐらいに帰ってくるの?」
「遅いっすよー。七時に帰ってきたら、早いほうっす。生徒が帰った後も、色々やることあるんすよ」
ひょえー。
「シャロンは、家帰って誰もいないって、寂しくない?」
「まー、慣れたっすねえ」
ボクだったら、帰ったら誰もいなくて、一人モソモソ夕ご飯を食べるとか、耐えられないな……。
「じゃあさ、今度四人で遊ばない?」
「お、さんせー。シンボクを深めたかったしな!」
「この中で、一番家が広いの誰だろ?」
各自のおうち事情を、突き合わせる。
結果、ボクの家に集まろうという話になりました。
「でも、アユムとバーシは、火曜以外暇ないんだろ? どうすっかね」
「うーん。そこは、お父さんとお母さんに相談してみる」
というわけで、詳しい打ち合わせは明日またすることになり、今日の授業もバリバリ楽しみ、下校となりました。
◆ ◆ ◆
「いいわよ」
お父さんたちに相談すると、あっさりお母さんから、火曜以外の休みの許可がもらえました。
「ねえ、アルクさん?」
お父さんも、うんうん頷く。
「ほんとは、店の手伝いなんかさせず、自由にさせてあげたかったところだからな。適当に休んでもらって、かまわないよ」
「うわあ、ありがとう!」
立ち上がって、背後から二人の肩を抱く。
「じゃあ、部活の日にちも増やしていいかな?」
「いいんじゃない? ねえ?」
お母さんが、お父さんを見る。
「ん。青春は一度きり。アユムの好きなようにするといいよ」
「ありがとー!」
肩を抱く力に、さらに力を込める。二人とも、大好き!
「バーシにも、様子を聞いてくるね!」
もうパジャマなので、電話でコール。
「もしもし?」
「あ、おばさんですね? アユムです。バーシいますか?」
「待っててね」
送話口を手で押さえているのだろう、「バーシー」という呼び声が、くぐもって聞こえる。
ややあって。
「お待たせー。遊ぶ日のこと?」
「うん。うちはね……」
さっき、大変太っ腹な許可をもらったことを告げる。
「おおー。うちも、そんな感じの許可もらったよー」
「おお、やった! これで、気兼ねなく遊んだり部活できるね!」
「だね。明日、ネコザキ先生に、部活動日の変更伝えないと」
あとは雑談で盛り上がり、そろそろ宿題しないとってことで、通話を終わりました。
◆ ◆ ◆
「おー、やったじゃん! これで、気兼ねなく遊べるな!」
休み時間、ククの机にたむろしながら、結果報告。早速、喜んでくれました。
「で、部活日だけどどうする?」
火曜以外も放課後はフリーになったわけだけど。
「土日は、さすがにうちらが家族と、どっか行ったりしたいからなあ」
ククがシャロンを見ると、「っす」とだけ言って、頷く。
うーん。勤め人と、自営業の溝。
「じゃあ、火はボクらが家族と何かする日にして、水木ぐらいにしとく?」
月金は、月は週明けでだるいし、金は、ククたちが休み前でゆっくりしたいだろうから、この二日を挙げる。
「ん。いんじゃね? シャロンはどうよ?」
「問題ないっす」
「バーシは?」と問うと、彼女も同意。
「じゃあ、お昼休みに、ネコザキ先生に変更を伝えてくるね」
予鈴が鳴ったので、各自の席に戻る。
◆ ◆ ◆
「あら、今度は水木になったの?」
「ころころ変わってすみません」
職員室で、お茶を飲んでるネコザキ先生に、恐縮する。
「いえ、まだ書類作ってる最中だったから気にしないで。私も、それにスケジュール合わせないとね」
お茶を飲み干し、コトリと茶碗を置く。
「来週水曜には、許可降りるかしら? 楽しみにしててちょうだいね」
「はい!」
ペコリとお辞儀し、職員室を退出。
ああ! ボクの第二の人生、充実してるなあ!!
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