詩集 巻一

荻野ケヴィン
荻野ケヴィン

細雨(ささめあめ)

公開日時: 2022年5月7日(土) 14:26
文字数:335

しんしんと雪 降り始め

雪がみぞれに 変わり出し

みぞれと雨の 勢いも

弱りだす頃 君と僕

雨のシャワーで 光射す

道を歩いて どこからの

光なのかを 探し出し

見つけ出すのは その名前

今は昔の 静やかな

昼の景色の 寺の池

紫のハス 乱れ咲き

雨粒がふと 花びらを

弾くときには コノハナの

サクヤヒメさま 手にとって

釈迦に渡して 悟らせる

一つの真理 紫の

色に匂うは なぜなりや

心あるから 伝わるの

愛があるから 伝わるの

ハスの上には 細やかな

雨が降り出し 釈迦の目に

涙が一つ 滴って

ハスの心に 涙あり

釈迦がハスへと 手を伸ばし

触れ合えばほら 笑い出し

世界は回り 笑顔だけ

溢れ出しては コノハナの

サクヤヒメさえ 笑い出し

緑の心に 熱を帯び

世は暖かく 成りだして

氷の心 溶け始め

世の人々の 心色

熱を帯び出し 星の白

光り出しては 世を照らし

細(ささ)め雨降る 草の原。

二〇二二・五・一 記す

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