いざ、アンダーへ。覚悟を決めて意気込む弘和を神が待ったを掛けた。
「おい待て、カズ。お前そのままでいくつもりか?」
弘和は自宅から着の身着のままで来たため私服だった。それがどうしたと言わんばかりの顔をする弘和に、神は呆れ果てる。
「お前、ここをどこだと思ってるんだ。地球じゃないんだ、しかもこれから行くところは何が起きてもおかしくはない場所なんだ。そんな所に普段着で行くつもりか?少しは緊張感を持て」
神が注意するのも無理はない。アンダーはそれほどに恐ろしい場所なのだ。何しろゲインですら、アンダーの全てを把握しているわけではないのだから。
しかし、弘和は不思議と恐怖はしていなかった。一度は絶望の淵に立たされ、悲観していた弘和に、まだ希望が残されている。この事実が弘和を奮い立たせていた。
「大丈夫だ、タツ。そんなことくらいわかっている、それにこんな格好ではおちおち外も出歩けない。だから、少しこのホーリーで装備を揃えようじゃないか」
「出歩けないって。さっきその格好で普通にギルド行ったろ。まぁでも、そのくらいは考えてくれていて助かる」
改めて出発というところで、今度はゲインが「言い忘れたんじゃがの」と、頭の中で喋り掛けてきた。
「このレジェンドラで死んだ場合。当然ではあるが生き返る方法はない。くれぐれもガインと会う前に死ぬでないぞ」
生き返れない?マジ?一気に慌てふためく弘和。さっきまでの余裕の態度はどこへやら。
「ま、まあ死ななきゃいいだけだ。な、タツ?」
「お、おう」
「よし。早速装備を揃えよう。かなり高性能な物をな」
不安を吹き飛ばすかのように、デカい声をあげてみる。これから待ち受ける苦難を乗り越える為、弘和達は防具屋を目指す。
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